地域共生社会目指す「あまみ福祉フェスタ」

子どもたちを先頭に高齢者、障がい者約100人が歩いた街中ウォーク(29日、奄美市名瀬長浜町)

障がい者が普通に暮らす街へ
笑顔絶えない1日に

 全ての人が支え合い共に生きる「地域共生社会」の実現を目指す「あまみ福祉フェスタ」(奄美共生プロジェクト実行委員会主催)が29日、奄美市名瀬の奄美川商ホール(文化センター)1万人ひろばを主会場にあった。福祉施設や医療機関など約45事業所がブースを構え、障がい者が作った食品や工芸品などを販売。芝生ゾーンでは、大型のエアー遊具やシャボン玉で遊ぶ子どもたちの姿があり、休日に集まった多くの人の笑顔が絶えない1日となった。

 同フェスタは、2019年から続けられてきた「奄美共生プロジェクト」(奄美大島介護事業所協議会主催)を前身に初開催。イベントは、同プロジェクトで行われた高齢者や障がい者の街中ウォークで始まった。

 午前9時、名瀬港マリンタウン緑地公園には約100人が集合。高齢者施設「あおぞら小規模多機能事業所」(居宅型施設)の利用者ら10人と障がい者、一般参加者が車いす17台と徒歩で、約2㌔の道を歩いた。

 車いすに試乗し会場入りした龍郷町の大勝小4年、濵崎はなさん(9)、岩田あかりさん(9)、中結愛(ゆあ)さん(9)は、「おばあちゃんたちと話しながら歩いた。道路の段差があり、車いすでの生活は大変だと思った」と話した。

 多機能事業所「らしく」で働く西村友里さん(18)は「週に4、5日、おにぎりを作って販売している。働き始めたばかりだが楽しい」と笑顔だった。

 開会式があり、街中ウォークにも参加した安田壮平奄美市長は「和気あいあいと歩き、すがすがしい時間だった。幸せのシマを目指し地域共生の街を作っていく」と宣言した。

 ステージ「みんなの発表会」では、介護施設でケアマネジャーとして働く唄者、前山真吾さんの唄やフラダンスなどが披露された。広場では、各種販売や展示などの「ふくし祭り」が開幕し、高齢者、障がい者、子どもたちが思い思いに楽しんでいた。

 精神障がいがあることを公表し、障がい者同士が交流する「ぴあ」活動をしている元俊智(はじめ・としのり)さん(41)は、「元気回復行動プランWRAP(ワラップ)」というワークショップを開き、多くの参加者と意見を交わしていた。

 同実行委員会の盛谷一郎会長は「それぞれがそれぞれの楽しみ方をして笑顔があふれていた。障がい者が子どもたちと触れ合っていた。この風景が街中で普通にみられる社会を実現させたい」と語った。