害虫セグロウリミバエ誘殺

「セグロウリミバエ」の誘殺確認を受けて与論町内に配布される啓発用のチラシ

緊急防除の沖縄に近い与論でも
蔓延防止へ対策協力呼び掛け

 県は30日、ウリ類などの害虫「セグロウリミバエ」が伊仙町に続き、与論町でも誘殺により確認されたと発表した。誘殺数の増加・寄生果の確認で4月14日から移動制限の緊急防除が実施されている沖縄本島に近い同町では、島内蔓延(まんえん)防止へ対策への住民協力を呼び掛けている。

 経営技術課によると、28日に同町麦屋に設置している調査用トラップ(わな)において雄成虫1匹の誘殺を確認したもの。県内における誘殺は、3月の伊仙町に続いて2回目(今年度は初めて)だが、その後、伊仙町での誘殺はない。

 今回の確認を受けて、与論町では国の「重要病害虫発生時対応基本指針」に基づき、初動対応を実施。トラップ調査(誘殺地点から半径5㌔円内の既設トラップ19基に加え3基増設)、寄主果実調査(主にウリ科を採取)、ベイト剤による防除、寄主果実の除去に取り組む。

 与論での誘殺確認について農林水産省門司植物防疫所は「4月下旬にかけて発生国の台湾、中国から風が吹き込んでおり、それによって飛来したのではないか」としている。

 町産業課によると、誘殺確認に伴い防災行政無線や町ホームページで周知。この中ではセグロウリミバエについて「昨年6月に沖縄県で発見され、現在では一部の農作物(ゴーヤーなど)が県外への出荷規制となるなど大きな被害を与えている病害虫」と指摘。各世帯に配布するチラシも作成しており、被害を受ける農作物例をイラストで分かりやすく示すとともに、生産者・家庭菜園所有者へ▽適切な防除=農薬散布などの適切な害虫防除・栽培管理▽不要な果実を野外に放置しない=収穫予定のない果実、摘果・収穫後の残さ、野外のウリ科雑草などは畑や庭に放置せず、地中深くに埋めるか、ビニール袋に密封して速やかに廃棄―を求めている。

 移動制限が行われている沖縄本島の北部と与論島は20㌔余りしか離れていない。同課の堀田哲也課長は「町民の皆さんからは誘殺が確認されたことで出荷停止になるのではないか、といった心配の声が寄せられている。正しい情報を伝えると同時に、蔓延防止のための協力や処置の在り方などお願いしている」と語り、懸念するのが名護市で28日に行われた不妊虫(雄)1万匹の試験的な放飼だ。

 距離的な近さから与論で不妊虫の誘殺や飛来が増える可能性があるため。沖縄県病害虫防除技術センターによると、不妊虫と野生の虫の違いでは、不妊虫は額部分がオレンジ色に着色(蛍光色素)しているほか、頭部分をつぶして蛍光を発光すれば不妊虫に間違いないという。沖縄県では6月から数万匹単位で段階的な放飼を計画している。