由井岳林道の起点部分で浜田太さんが見つけ撮影した2羽のニワトリ
奄美大島南部の森の中で2羽のニワトリがまるで野生化しているような状態で確認された。養鶏されていたものが逃げ出した可能性もある。同島では野鳥のハヤブサから致死率の高い高病原性鳥インフルエンザが検出され警戒が強まっている中、関係機関はニワトリの飼育の在り方で養鶏場だけでなく庭先を含めて適切な管理を求めている。
ニワトリを見つけ撮影したのは写真家の浜田太さん(71)。今月3日正午頃、奄美市住用町役勝と瀬戸内町篠川を結ぶ県道のうち由井岳林道の起点部分で確認したという。「ほぼ野生化しているように見えた。餌として小動物への影響が懸念されるし、何よりも危惧するのは2羽が雄雌だった場合、卵で増え、野生化したニワトリが繁殖する可能性がある」と浜田さん。
浜田さんが撮影した写真を確認したNPO法人奄美野鳥の会・鳥飼久裕理事は「2羽とも鶏冠(とさか)がしっかりしている雄」と指摘して繁殖の可能性を否定。品種について「ロードアイランドレッドと黄斑プリマスロックのように見えるが、雑種かもしれず断定できない」とし、小動物に与える影響については「比較的大きな鳥で、おそらくいろいろな動植物を食べると思われるが、2羽ならそれほど大きな影響を与えないのではないか」としている。
ロードアイランドレッドは養鶏場などで一般的に飼育されているニワトリで、プリマスロックは地鶏系統。こうしたニワトリが奄美大島の森の中で見つかったことについて関係機関は「家禽(かきん)の場合、それが由来する病気が野生の生き物に感染することも考えられる。鳥インフルの発生によって養鶏場などにおいて適切な飼育・管理が求められており、逃げ出すようなことのないよう努めてほしい」と呼び掛けている。別の行政機関によると、ニワトリが見つかっている周辺で飼育者の存在は確認されていないという。経路は不明だが、鳥インフルへの感染、野生への影響を防止するためにも食用(鶏肉・鶏卵)、観賞用を含めて管理の在り方が問われそうだ。