奄美黒糖焼酎は依然として全国的な認知度向上が課題となっている(酒屋まえかわで)
5月9日と10日は「奄美黒糖焼酎の日」。例年、年末の12月は贈答需要から課税(出荷)、2~3月は原料の黒糖の入荷で製成(生産)のピークだが、2024酒造年度(24年7月1日~25年6月30日)の場合、いずれも前年度を下回った。全国的な認知度が依然として課題となっている中、ジャパネットクルーズがチャーターする豪華客船に乗船し、乗船客に奄美黒糖焼酎のPRが企画されている。
県酒造組合(濱田雄一郎会長)が昨年9月発表した23酒造年度(23年7月1日~24年6月30日)の需給状況では、黒糖焼酎の出荷数量は6297㌔㍑で前年比9・3%増だったが、6668㌔㍑となった出荷量は同2・3%減少した。
24酒造年度の月別状況は同組合奄美支部(乾眞一郎支部長)がまとめており、昨年12月は生産460㌔㍑(前年比21・37%減)、出荷733㌔㍑(同7・22%減)、今年1月生産134㌔㍑(同19・28%減)、出荷414㌔㍑(同11・29%増)、2月生産513㌔㍑(同32・5%減)、出荷505㌔㍑(同2・0%増)と推移。12月の出荷は1割近く減少、黒糖原料のほとんどを占める沖縄産の入荷で盛んになる生産は2月で3割以上も減少した。
奄美支部は「飲食店などを中心とした国内需要は徐々に回復しているが、新型コロナ禍前には戻っていない」と説明。焼酎全体の中で黒糖焼酎が占める割合は2%前後(全国的なシェア)にとどまり、「まだまだ知られておらず認知度が低い。特に日本酒が好まれ、焼酎では甲類の方が飲まれている首都圏、関東以北が課題で、国内需要は開拓の余地がある。首都圏など都市部で本格焼酎の魅力を消費者に伝える大規模なイベント開催ができないだろうか」と指摘する。
奄美黒糖焼酎の認知度向上へ期待されているのがジャパネットクルーズでのPR。同社は、㈱ジャパネットホールディングスのグループ会社で、今月30日に横浜港を出港するクルーズツアーでは、バイキング・クルーズ所有の「バイキング・エデン」をフルチャーター(全船貸し切り)し、最初の寄港地となるのが6月1日の奄美大島(名瀬港観光船バース入港)。この日程(5月30日~6月1日)に奄美黒糖焼酎女子倶楽部のメンバーが乗船するもので、乗船客は約900人。奄美市紬観光課によると、乗船客に黒糖焼酎を振る舞うことから試飲を通して味や香りの特徴が理解される。
同社では「乗船客に寄港地を十分に楽しんでもらえるよう、次の寄港地の地元関係者に乗船してもらっている。今回は地元の名物を持ち込んでもらい、振る舞いイベントを行う」と説明。黒糖焼酎2種類を買い取り、船内のバーでの提供もある。乗船する女子倶楽部関係者は大島紬を着用し、黒糖焼酎の魅力を伝える予定だ。
なお、奄美黒糖焼酎の日に関連したイベントでは女子倶楽部による「月ぬきゅらさ~や」(午後5時半~奄美市名瀬のAiAiひろば1階ホール)、黒糖焼酎専門店・酒屋まえかわ企画による「黒糖焼酎呑もうでぃ!」(9日は午後5時半~名瀬中央通りアーケード商店街にある複合施設UNION)などが予定されている。