天然記念物のオカヤドカリを無許可で島外に持ち出しを阻止したホテルビッグマリン奄美の田畑支配人(左)とフロントスタッフ(8日、奄美市名瀬)
中国籍の男3人が国の天然記念物の「オカヤドカリ」数千匹を無許可で所持し、島外に持ち出すのを阻止したのは奄美市名瀬のホテルビッグマリン奄美(向井純一社長)のフロントスタッフ。同ホテルの田畑敬一郎支配人(47)は「フロントスタッフのチームワークのおかげ。島の大切な生き物を守れた」と語った。
中国籍の男は2人でホテルを予約し、4泊の予定で4月30日の深夜に同ホテルにチェックイン。日本語が話せなく、同ホテルの外国人スタッフが英語で男性たちに応対した。チェックアウト時にスーツケースを預け、▽その際に防犯カメラに2人ではなく3人の姿が映っていた▽三つのスーツケースが大人一人では持てないほど重く、中で「カリカリ」とひっかくような音をしていた▽中国籍の男性らが宿泊していた部屋でオカヤドカリがカーテンの上に2匹いるのを従業員が発見した―ことや度重なる延泊に加えて、チェックアウトの5月6日、「夜の船で島外に出る予定で夕方までスーツケースを預かってほしい」と言われたという。
スタッフのミーティングで「怪しくないですか?」との声もあり、沖縄での事例も受けてスーツケースの重量も重く、「飛行機に乗せられない=奄美の大切な生き物ではないか?」との違和感を覚えた田畑支配人がスタッフと話し、環境省に連絡。同省から連絡を受けた奄美署員も駆け付け、男たちが預けた荷物を受け取るタイミングで本人立ち合いの下、手荷物検査を実施したところ、大量のオカヤドカリが発見され、逮捕に至った。
田畑支配人は「初めての経験だったので、どこにどうするか分からなかったが、今回の事例を通して島の自然や生き物を守る大切さを感じた。従業員はもちろん、島民みんなの意識が変わるきっかけになれば」と語った。