迎えに来た保護者の車に乗り込む児童(10日、龍郷町戸口小学校)
「命の大切さ考える機会に」
龍郷町の戸口小学校(森智子校長、児童33人)で10日、災害発生時に児童を保護者に引き渡す訓練があった。風雨が強まり、徒歩での下校が困難との想定。学校から連絡を受けた保護者が次々と駆け付け、児童は、あらかじめ決められた手順で車に乗り込み帰宅した。約8分で全員の避難が完了した。
引き渡し訓練とは、自然災害や事件などを想定、保護者に児童を引き渡し、安全を確保するもの。保護者が参加することで、学校側との連携を強化し、防災意識を高める狙いもある。
同校の訓練は毎年行われており、緊急時の混乱した状況を考慮し、あらかじめ親戚や近所の親しい人なども引き渡し名簿に記載されている。
午前10時20分に訓練開始。校内放送を聴いた児童は、浸水被害や土砂の流入を受けにくい音楽室に移動し待機した。同23分に森校長が保護者らにLINEで一斉通知すると、約10分後には校庭に車の列ができた。
全児童を速やかに避難させるため、保護者は車から降りず、児童は、混乱の中で不慮の事故につながらないように運転席の後ろから落ち着いて乗り込んでいた。
転入し、訓練は初めてだという1年の吟(うた)君(6)の父、修行秋一(しゅうぎょう・しゅういち)さん(38)は「周囲に(2010年・11年の)豪雨災害のことは聞き知っている。登下校時にも、上級生が気配りしてくれ安心している」と話した。
森校長は「訓練は、子どもたちが命の大切さを考える機会になっている。不審者が侵入した場合などの対応にも生かせる」と話した。
11日は、大和村の大和小学校でも同様の訓練が行われる。