「伊田牛、ワイドワイド!」。後援会青年部員らの肩車で町役場前―事務所間を練り歩いた新伊仙町長の伊田正則氏=11日午後9時半頃
【徳之島】前町長の辞職に伴う伊仙町長選挙は11日、投開票され、新人で前教育長の伊田正則氏(66)=無所属=が2386票を獲得し、元高校長の盛初弘氏(63)=同=に285票差をつけて初当選を果たした。新人同士の一騎打ちで、争点が見えづらい選挙戦だったが、町民は前町長の大久保明氏(70)の後継指名を受けた伊田氏を新たなかじ取り役に選択した。投票率は92・53%で、前回2021年の92・85%を0・32ポイント下回った。
両氏の対決は、町を二分した21年の400票差を上回る接戦となった。期日前投票所の舞台となった役場前では、両陣営の支持者らが互いを監視してけん制し合うなど、今回も緊迫した選挙戦となった。
投票は、同日午前7時から午後6時まで町内8か所で行われ、午後8時から役場4階の議会議事堂で即日開票された。開票時には、一部の支持者らが役場周辺に集まったものの、大きな混乱は見られなかった。
伊田氏は、教育や行政、農業で培った経験を武器に、▽町民主体のまちづくり▽子どもたちの学習環境整備▽農業振興―などの5方針23施策の公約を遊説などで精力的に呼び掛けた。「子や孫に誇れるまちづくり」をスローガンに、町民参加型の町政の実現のほか、未来のために今もうひと踏ん張りする「ちゅうきばりの精神」を訴え支持を獲得。大久保氏や町議、地元選出県議らの支援を得た組織力で相手を上回った。
盛氏は、「稼ぐ力と人を生かす政治でふる里に恩返し」をスローガンに、新たなリーダーによる町政の「刷新」をアピールしてきた。独自策として、現金給付を含む「物価高対策事業」や、国や県からの資金調達を目指す「事業推進課」(仮称)新設などを掲げたものの、あと一歩及ばなかった。
▽当日有権者数=4899人(男2475人、女2424人)▽投票者総数=4533人(男2313人、女2220人)▽投票率92・53%(男93・45%、女91・58%)