高層ホテル建設計画 節田集落、市長に要望書

奄美市笠利町節田の高層ホテル建設計画に関する要望書を安田壮平市長に提出する集落の長谷川雅啓区長(12日、奄美市役所市長室)

生活守る実効性ある規則を
15日企業側2回目説明会
景観条例「定期的な見直し必要」

 奄美市笠利町節田の県奄美パークに近い海沿いの私有地に計画されている高層ホテル(12階建て約40㍍の高さ)建設で、集落の長谷川雅啓区長や近隣3世帯の住民ら7人は12日、市役所(名瀬総合支所)を訪れ、建設反対に関する要望書や企業側の説明会(3月5日)後のアンケート集計結果、まとめた住民意見などを安田壮平市長に提出した。この中では住民の生活を守る実効性のある規則の制定などを要望、安田市長は景観条例の定期的な見直しの必要性に言及した。

 要望書は節田集落、奄美が向かう未来を考える会(集落を越えた集まりで、主に30~50歳代で構成)名で提出。集落要望では実効性ある規則の制定のほか、「高層ホテルなど建設計画の早期届け出の徹底。また、当該地域住民の意見反映を義務化する規則制定」「高層ホテル建設計画への市主催の説明会開催」、考える会は▽建設撤回のため許可の再審査▽市景観条例第3条に明記されている通り、地域住民の意見、計画地の実情も精査した上で景観審議会を改めて開催し再審査▽海岸沿い及び集落周辺地域への高層建築、建ぺい率が適用されない都市計画区域外の地域に対して、国立公園内と同様の高さ制限と建ぺい率を規制できる条例制定―など求めている。

 両要望書を長谷川区長から受け取った安田市長は「内容を確認し全庁的に要望事項を考えさせていただき、きちんと返答していきたい」と述べた。建設地に隣接する住民などからは「国定公園だった計画地が世界自然遺産に伴う国立公園化の際、国立公園から外れたことを知らなかった。外れたことを行政側から知らせてほしかった」「計画に対し賛成、反対の表明で住民同士の言い争いが起きてしまう。その前の対応として条例による規制が行政の責任として進められたら、対立を避ける方法が見いだせるのではないか。景観計画に対し効力がある条例であってほしい」などの意見があり、安田市長は「市の景観条例は3~4年間かけて議論後、2023年度施行された。定期的に見直すことを考えなければならない」と述べた。

 なお、企業説明会後に行われた集落アンケート集計(回収率69・3%)では「反対」が64%に達し、「やや反対」を含めると8割超となった。「賛成」は5%に過ぎない。意見では「高さ縮小」「計画撤回」「建設場所変更」が上位となっている。

 15日には企業側による第2回目の説明会が予定されている。前回同様、校区内3集落の住民が対象で午後7時半から節田小学校体育館で。