こども・かいご 福祉学科廃止決定

こども・かいご福祉学科の廃止を決定した奄美看護福祉専門学校(14日、奄美市名瀬小湊)

26年度から募集停止
定員割れ続く
看護福祉専門学校

 奄美市名瀬小湊の奄美看護福祉専門学校(向井奉文校長、学生148人)はこのほど、2026年度の「こども・かいご福祉学科」の学生募集を停止すると発表した。同学科は、25年度の入学生が卒業する28年3月で廃止となる。1995年の開学以来、介護・福祉・保育業界に多くの人材を輩出してきた同学科は33年の歴史に幕を閉じ、奄美群島から介護福祉士・保育士・幼稚園教諭の育成専門機関が姿を消す。

 学科の廃止は、設置者の日章学園が決定。4月初旬に同校に連絡があった。廃止理由は「入学者数の減少による経営上の問題」。

 同学科の募集定員は40人だが、定員を満たしたのは開学以来3回(01年、03年、05年)しかなく、13年以降は22年を除き、20人割れが続いていた。24年度から25人に定員を変更したが、同年度は14人、25年度も15人にとどまっていた。

 寺師敬子副校長(65)は「県外にも出向き、高校生に進路ガイダンスを行うなど活動を続けてきたが、少子化の流れに逆らうことはできなかった。全国的に医療・福祉分野を希望する学生が減り、島の子どもたちの都会志向も強かった」と原因を分析した。

 介護福祉士の養成校では、外国人を入学させ運営安定を図るところもあるが、同学科では、▽幼稚園教諭第2種▽保育士▽介護福祉士(受験資格)の三つの資格を取得するため、養成課程は3年。2年で介護福祉士の受験資格を得る他の養成校とは、事情が異なるという。

 寺師副校長の言う少子化・都会志向の影響は、看護学科の入学者数にも表れている。22年度まで40人以上(07年度は39人)を維持してきたが、23年度38人、24年度同、25年度30人と減少傾向にある。

 寺師副校長は「このままの状態が続けば、近い将来〝閉校〟の決断を余儀なくされるかもしれない。24年5月には、市や高校関係者などを交え、若者の定住と医療・福祉の人材確保について危機感を訴えたが、温度差があるように感じた」と話した。

 谷村志寿江(しずえ)こども・かいご福祉学科長(51)は「このまま入学者が減り続け学校がなくなることになれば、地域の福祉・幼児教育分野の人材不足は一気に加速することになる。市には、給付型の奨学金制度を設けるなど、バックアップ体制を強化してほしい」と話した。