県内一の産地・大和村で栽培されているスモモ。今期から集出荷を村が一括して対応、流通の不透明化を防ぐ(15日、大和浜地区で)
初夏の味覚・スモモ(奄美プラム)は今月下旬から収穫が本格化する見通しだが、台湾原産・花螺李(カラリ)品種の県内最大産地の大和村では今期から集出荷が見直される。村が100%出資の合同会社ひらとみが窓口となり集荷販売を一括するもので、国内在住のベトナム業者による買い取りが活発化する中、村産スモモの流通不透明化を防止する。
村産業振興課によると、同村のスモモ栽培面積は約40㌶。生果用として好まれている大玉系統を選抜し導入が図られており、これまでに3回、皇室に献上されるなど品質の高さを誇る。
長年の栽培・生産の歴史があるスモモは「果樹のむら」のシンボルだが、今期の生産は栽培者約130人で、生産量20㌧の見込み(2024年産は31㌧)。同課によると、昨年12月から気温が低く推移し、着花数は多かったが、天候(雨天、突風など)の影響で受粉率が低くなり、着果量が減少。さらに2~4月に低温が続いたこともあり、全体的に収穫量が減少する見込みという。
JA共販ではなく合同会社での取り扱いになることについて同課の福本新平課長は「量が少ないこともあり今期はJAに出荷されないが、JAと取引しないということではない。この共販だけでなく栽培者が生産するスモモは地元市場への出荷、さらにベトナム業者が直接果樹園に出向いての買い取りが行われている。島内在住だけでなく、県外のベトナム業者もおり、選果場に持ち込まれないまま出回ることで流通が把握できない事態となっていることから、これを防ぐため合同会社で引き受けることになった。村と農家が一体となって果樹のむらの振興に取り組みたい。農家の所得向上につながる単価設定を目指す」と説明。業者の買い取りは果実の品質に関係なく摘果もされないまま行われているという。適正管理が徹底しないと産地としての生産安定に支障が出ることから、この改善も目的としている。
栽培者から合同会社への出荷申し込みは約5㌧(今月9日現在)。福本課長は「10㌧ぐらいは引き受けたい」と話し、販売先は市場や加工用、さらに「地元のベトナム業者は選果場の利用を含めて産地づくりに理解がある」として販売する方針。湯湾釜にある選果場は村が整備し実質的に運営してきたことから、JAから離れても影響ないという。昨年は5月21日から選果場は稼働したが、今期は果実の着色も遅れ全体的に青い状態にあり、今月下旬から収穫が始まり6月中旬まで続く見通し。村は今月20日午前10時、同選果場で目ぞろえ会(A品とB品の家庭選別徹底のため)を予定している。
なお、JAあまみ大島事業本部は25年度奄美プラム出荷販売協議会を大和村を除く2か所で開催する。16日が午前10時から奄美市名瀬の里公民館、20日も同じ時間帯で龍郷町秋名コミュニティーセンターで予定している。