喜界町でリーフチェックサミット

隈崎町長、田畑町長らがサンゴ礁を生かした地域づくりについて語り合ったパネルディスカッション

サンゴ礁で地域づくり議論
パネル討論や基調講演

 第2回奄美群島リーフチェックサミットの公開シンポジウム「サンゴでひらくシマの未来」が13日、喜界町役場コミュニティホールであった。隈崎悦男町長や田畑克夫与論町長、サンゴ礁研究者らが登壇し、パネルディスカッションで議論。サンゴ礁を活用した特色ある地域づくりについて語り合った。

 サミットは、リーフチェック関係者が集まり、サンゴ礁保全に向けた情報共有を目的に、日本自然保護協会が主催。基調講演とパネルディスカッションの2部制で、会場とオンラインで実施した。

 パネルディスカッションでは、両町長のほか、喜界島サンゴ礁科学研究所の渡邊剛理事長、東京大学大学院教授の安田仁奈さんの4氏が登壇。同研の鈴木倫太郎さんが案内役を務め、▽サンゴ礁の関わり方▽地域資源としてのサンゴ礁と持続可能な地域づくり―をテーマに意見を交わした。

 田畑町長は、与論島のイノー(サンゴ礁の浅瀬)を活用した素潜り漁やスクーバダイビング、伝統文化の浜下りなどに触れた上で、「農業だけで生活できる島ではなく、観光が占める部分も大きい島。サンゴ礁は大きな財産で守る必要がある」と話し、渡邊理事長は「(喜界、与論は)サンゴ礁が育む生物多様性が生活・文化に宿っている。サンゴ礁と人との関わりをモデルに世界に発信すべき」と呼び掛けた。

 安田さんは、「リーフチェックと科学を融合できないか。科学者が証明し地域に還元することで島民の行動も変わるのでは」と助言。サンゴ留学やカーボンニュートラル宣言などの取り組みを報告した隈崎町長は「島には都会にない宝がたくさんある。施策に絡めて進めることが大事だ」と話した。

 基調講演では安田さんが「南西諸島を中心としたアオサンゴ群集について」と題して講話。アオサンゴの分散は15㌔程度の意外と狭い範囲で行われていることなどを報告し、「それぞれは孤立している。今あるものを大事にすることが大切だ」と訴えた。