奄美海運が減便を検討するフェリーあまみ(15日、名瀬港)
鹿児島から奄美大島、喜界島、徳之島(平土野)、沖永良部島(知名)を結ぶ定期船「鹿児島~喜界~知名航路」が6月1日以降、深刻な船員不足を理由に、現在の週5便の運航から週4便の運航へ減便を検討していることが分かった。同航路は、喜界島を経由する唯一の航路で、知名港では寄港休止も検討している。運航する奄美海運(本坊隆幸代表取締役)は「安定のため見直しは断腸の思い。航路維持のためご理解いただきたい」としている。
同社は1978年7月に設立し、同年10月に同航路を就航した。現在は、知名航路の「フェリーきかい」、平土野航路の「フェリーあまみ」の2隻体制で運営。フェリーきかいは火、木曜日の週2回、フェリーあまみは月、水、金曜日の週3回、鹿児島―奄美群島間の人や物資を運んでいる。
計画では、フェリーきかいの2便はそのままで、フェリーあまみの3便のうち、水曜日の鹿児島発の1便の減便が検討されている。
同社によると、船舶の運航に必要な船員や有資格者が、今年2、3月に相次いで退職した。同航路は、夜間航海の上、離島間では2時間置きに入出航が繰り返される過酷な就労体制となっており、残った船員で回すと休日の消化もままならないという。
また、知名港では荷役作業などの業務を委託する事業者から人手不足、赤字負担の拡大などを理由に事業撤退の申し出があった。後継者探しは続けてきたが新たな事業者はみつからず、維持することが困難となっている。
今後は国や県、喜界町らで組織する「鹿児島―喜界―知名航路対策協議会」を今月中にも開催し、減便について協議する見込み。同社担当者は「多大な迷惑をお掛けすることは重々承知で、今回の措置は安定した航路維持を図るため。見直しは心苦しいが、ご理解、ご協力をお願いしたい」と重ねて話した。
なお、今月7日は協議会から要望があり、喜界町で住民説明会を実施した。町民からは農作物の輸送など、減便を懸念する声も上がったという。