徳之島町「学士村塾」

徳之島町「学士村塾」合同開講式で塾生憲章を唱和し、学びへの決意を示した塾生ら=17日、同町生涯学習センター

「進学コース」を新設 8教室に小中学生122人
4年ぶり合同開講式で学び決意

 【徳之島】2025年度徳之島町「学士村塾」の開講式(町教育委員会主催)が17日、町生涯学習センターであった。自学自習の定着による児童生徒の学力向上対策として17年目。町内7会場に新設の「進学コース」を含め122人が登録。塾生憲章「先人の生き方を学び、勉学に励む」「将来の目標実現に向け、一生懸命努力する」などを唱和して学びを誓い合った。

 同町は明治期の旧亀津村時代に、現東京大学など旧帝国大出身者ら多くの著名人を輩出したことで「亀津学士村」と呼ばれた。清貧に耐え子弟の学資を捻出して支えた「ヤンキチシキバン精神」の教育風土が注目を集めた。「学士村塾」は、その教育風土の再興、児童生徒の学力向上を願い09年度にスタートした。

 会場は町生涯学習センターをはじめ各自治公民館、学校施設など計7教室。今年は今月17日から来年2月2日までの毎週土曜日午前9時~11時(第2土曜、夏・春休み期間中除く)の原則2時間。新設の「進学コース」については正午までの3時間。各塾長や講師は、学識経験者や町職員など25人(進学コースはICT=情報通信技術=活用による東大社会人入学生など)があたる。

 特徴として、1人1台のタブレット端末による学年別アプリ学習のほか、漢字・英語・数学の各検定対策(プリントや検定料助成)の希望にも応えるという。

 各教室合同の開講式は新型コロナ禍の影響で4年ぶり。受講生や保護者、学校関係者など合わせ約200人が参加した。福宏人教育長は式辞で「難しいことにも積極的に挑戦。仲間と協力して教え合い、助け合う。学習したことを学校だけでなく、日常生活にも生かそう」。高岡秀規町長も「勉強をする目的は、心を豊かにすることにもある」と激励した。

 続いて町誌編纂(へんさん)室の竹原祐樹室長が「徳之島学から学ぶ学士村の精神」についてミニ講話。「日本に大学が14校だけの約100年前に徳之島(旧亀津村)出身の学士(卒業者)が30人。宮崎県全体の学士とほぼ同数で、『日本一の学士村』と注目を集めた」。徳之島教育発祥の地「安住寺跡」(亀津)や明治維新の断髪令に積極進取の気概を発揮した「亀津断髪精神」。偉大な先人を輩出したその背景も分かりやすく説明した。

 受講生たちは、保護者ら関係者席に向かって「学士村塾」の塾生憲章(計10章)を朗読・唱和し、学びへの決意を示した。閉講式は来年2月21日を予定している。