「これからも…みんなの力、この地から」。にぎわった三京分校集落合同大運動会=18日、天城町
【徳之島】世界自然遺産に抱かれた徳之島・天城町立西阿木名小学校三京分校(児童数8人)で18日、「三京分校集落合同大運動会」が盛大に開催された。熱中症対策として秋季から春季に時期を移しての初開催となった今大会は、県外からの山海留学生に加え、12年ぶりに地元から新1年生が入学。学校、保護者、地域住民が一体となり、活気に満ちた一日となった。
三京分校は、徳之島のほぼ中央部、丹発山(たんぱつやま)の麓に位置する三京盆地の三京川沿いに位置。希少な生物多様性を育む大自然に恵まれつつも三京集落(現在34世帯74人)では少子高齢化が進行。昨年度まで4年間、新入児ゼロが続いていたが、町の山海留学事業により県外からの留学生を受け入れ、極小規模分校を存続。そして今年度、12年ぶりに地元児童が加わり、新たな活気が生まれている。
合同大運動会には、保護者はもちろん、遠く関東からの親族、西阿木名小・中学校の児童生徒と職員、地域住民ら約100人が来場。開会式では、6年生の山口瑠璃さんと穴見優衣さんが「これからも…みんなの力、この地から」のスローガンのもと、「たくさんの仲間とともに、みんなの力を合わせた最高の運動会にします」と力強く誓いの言葉。オリジナルの運動会の歌「ゴーゴーゴー」も合唱して会場のボルテージを高めた。
運動会では、全学年による表現「ワイド節」を皮切りに、紅白対抗のかけっこや徒競走、すず割り、伝統芸能「夏目踊り」の全体踊り、全員リレー「つないでつないで」など、全10種目で交流を深めた。全学年の一輪車披露では、新1年生の竹村心花ちゃんが1か月余りの練習の成果を堂々と披露し、会場から大きな拍手が送られた。
三京集落の豊村祐一区長(69)は「運動会の練習や登下校時に、子どもたちの歓声が聞こえると集落全体が元気になれる。これからも分校を守りたい」と目を細めた。学校側(肝付裕子教頭)は、「児童や私たち職員と保護者、地域の皆さんとの距離が近く一体感があり、ファミリー・家族のような感覚がある。日頃の授業も先生方の力で細やかな指導がなされていると思う」と、小規模校ならではのメリットを強調した。
地域全体で子どもたちの成長を支え、未来へとつなぐ温かい絆を感じさせる極小規模校の大運動会となった。