サンゴが育む生態系学ぶ

目の特徴からヤドカリの種類を特定する興会長(右)(18日、奄美市の大浜海浜公園)

海洋展示館
ウミガメ放流、生き物探しも

奄美大島島内の小学4・5・6年生を対象にした生き物教室「遊んで学ぼう奄美のサンゴ礁」(奄美大島サンゴ礁保全対策協議会主催)が18日、奄美市名瀬の奄美海洋展示館であった。親子連れなど約20人が参加。奄美大島の生活や文化に大きな影響を与え、海の生態系を育むサンゴ礁の成り立ちや、サンゴに依存する海の生き物について学んだ。

講師は、奄美海洋生物研究会の興克樹会長(54)。「1万年前の海面は、今より50㍍下にあった。約4千年かけ現在の地形となった」と解説し、「サンゴ礁は大きな波を止め、陸を守る役目を果たす」などと話した。

自身が撮った海中写真や動画を教材に、コブシメなどの産卵場となっているサンゴが、生態系を支える重要な役割を担っていることも説明。

オニヒトデの大量発生(2000~08年)、サンゴの白化現象(22年、24年)など、サンゴを脅かす危機があることにも触れた。

講義の最後には、奄美大島に生息する3種のヤドカリ(ムラサキオカヤドカリ・ナキオカヤドカリ・オカヤドカリ)を、目の特徴によって見分ける方法も教えた。

大浜海浜公園の砂浜に場所を移し、生き物探しも行われた。子どもたちは、カニやヤドカリを捕まえ、「オカヤドカリかな、ムラサキかな」などと尋ね合っていた。

5年前に保護され、同館で飼育されていたアカウミガメの放流も行われた。カメが海に泳ぎ出すと、子どもたちは「さようなら」「がんばれ」と声を掛け見守った。

奄美小5年の大園佳聖君(10)は「いろいろな生き物がサンゴに暮らし、面白い世界だと思った。わずか0・5㍉の卵が多くの命をつないでいることにも感動した。海を大事にしたい」と話した。

興さんは「サンゴ礁の存在が、奄美独自の文化を育んだことにも思いを巡らせてほしい」と子どもたちの成長に期待した。