ワダツミノキ開花

「おりじん・たき植物園」で開花しているワダツミノキ(西康範さん撮影)

笠利町和野 おりじん・たき植物園
固有種、今月いっぱい見頃

 奄美市笠利町和野にある「おりじん・たき植物園」で、ワダツミノキが開花している。奄美大島の固有種。白い綿毛に覆われたような花は淡緑色で直径3~4㍉と小さい。
 2023年の「みどりの日」(5月4日)にオープンした同園を所有するのは瀧源廣さん(75)。瀧さんによると、『奄美の四季と植物考』の著書で知られ、高校教諭を務めた植物研究家・大野隼夫さん=故人=の自宅にあったものを譲り受け移植した。園には5本のワダツミノキがあり、高さは5~6㍍に成長している。

 瀧さんは「例年、5月10日頃に開花するが、今年は遅め。今月いっぱいが見頃。開花を先生も喜んでいるのではないか」と懐かしそうに話し、「特別に手入れしなくても自然の状態で育つ。ワダツミノキは『海神の木』という意味もあるとされることから、潮風にも強いのではないか」と語った。

 数が少なくなかなか観察できない中、瀧さんは安全に楽しめる植物園への来園を呼び掛ける。入場無料。問い合わせは瀧緑地建設電話0997・53・3690へ。

 ワダツミノキは絶滅危惧種に指定されている樹木。八重山諸島(沖縄県)の石垣島、西表島に自生するクサミズキと同一種とされていたが、花の形態などが異なり奄美大島固有の新種とされ、歌手元ちとせさんのヒット曲にちなみ名付けられた。