県による嘉徳海岸の護岸工事再開に向けて重機が置かれた仮設道路の工事現場(2024年7月撮影)
県が瀬戸内町の嘉徳海岸で進める侵食対策事業で「コンクリート護岸工事は必要ない」として、一部住民らが県を相手に工事への公金支払い差し止めを求めた訴訟で県は26日、上告審の最高裁判所が申し立てを受理しないという決定の連絡を受けたと発表した。県の勝訴が確定したことから、県は早期に整備を進める方針。
同集落住民や瀬戸内町の要望を受けた県は2016年度に護岸設置を計画し、専門家を交えた検討委員会を経て整備が決定した。これに対し19年、工事の見直しを主張する原告10人が県を相手に工事への公金差し止めを求め鹿児島地裁に提訴。23年2月に同地裁が原告側の訴えを退ける判決を言い渡し、これを不服として原告8人が福岡高裁宮崎支部に控訴。24年4月に同支部は一審判決を支持して原告側の控訴を棄却。不服として同年5月、最高裁に上告受理申し立てを行っていた。
県土木部河川課によると、最高裁の決定は今月23日で、裁判官全員一致の意見として▽上告審として受理しない▽申し立て費用は申立人らの負担とする―との内容という。「本件は、民事訴訟法第318条第1項により受理すべきものとは認められない」との理由から。これに対し塩田康一知事は談話を発表。「最高裁から護岸工事公金支出差し止め等訴訟について、上告審として受理しない決定がなされ、県の勝訴が確定した。県としては、瀬戸内町や地元集落から、早期完成を求める強い要望をいただいており、住民の生命や財産を守るため、早期に整備を進めていく」とし、最高裁で護岸建設の正当性が全面的に認められたことから、「工事の安全かつ円滑な遂行の確保に向けて、法的措置等を含めたあらゆる手段を講じていく」としている。
地元・瀬戸内町の鎌田愛人町長は「最高裁において県の主張が全面的に認められたことは大変喜ばしい。護岸の完成を望む嘉徳集落の皆さんが安心し、心穏やかな日々を過ごすことができるよう、工事の早期完成を目指し、県と連携していく」とコメントした。
一方、申し立てた一般社団法人「奄美の森と川と海岸を守る会」代表理事の髙木ジョンマークさん(52)と理事の武久美さん(50)は「住民訴訟の結論が一つ出たが、これが全てではない。この事業は、住民の理解とか、世界自然遺産の価値とか、そういう点で検討が欠けている。その点を埋めるために活動を続けてきたし、これからも解決に向けて(活動を)続けていく」との談話を発表した。

