第2期工事が停滞する伊仙町役場新庁舎の現状(左)=30日撮影=と、完成予想模型(右)
【徳之島】伊仙町役場新庁舎建設事業における第2期工事(多目的ホール・正面エントランスホールなど)の入札が、資材費高騰などによる度重なる「入札不調」を乗り越え、30日にようやく成立した。町はこの請負契約案を、6月10日開会予定の町議会定例会に提案する方針。事業全体は当初の計画から約1年半遅れとなり、来年3月末の完工を目指す。
同町の新庁舎建設事業は、1963年建設の旧庁舎の老朽化を受け、2020年度に着手。23年9月には本体部分(第1期工事、RC造4階、延べ床面積3362・6平方㍍)が完成、すでに開庁した。続く第2期工事では、同本体の北側(県道側)に正面エントランスや多目的ホール(約300平方㍍)などの整備を予定していた。
しかし、昨今の建築資材価格の高騰や人件費の不安定化を背景に、指名業者の辞退が相次ぎ、過去4回(直近は今年2月)の入札が不調に終わっていた。町は「予定価格と積算価格の乖離(かいり)」を主因とし、設計事務所と協議を重ねて設計と予算を見直してきた。
第2期工事の遅延によって、本体と接続する部分には仮設の仕切りが設置されており、その外壁板には雨水による汚れも目立つ。町民の間では「新庁舎なのに見苦しい」「第2期工事はどうなっているのか」といった不満の声が上がっていた。先の町長選でも、工事の遅れが指摘材料の一つとなっていた。
5度目となる今回の入札には、島内外から5社が参加。町は当初計画の建築面積(約300平方㍍)を維持しつつ、設備・内装費の調整で予算内に収めたとするが、具体的な見直し内容は「公表していない」としている。
総事業費は23億2284万4千円で、国の「市町村役場機能緊急保全事業債」などを活用。町当局は、6月議会での契約案承認を経て、駐車場や外構工事を含めた全体の完工を来年3月末に完了させる見通しだ。