共同利用施設の再編支援

糖蜜回収船の故障により保管用タンクが満量となり、サトウキビの搬入を受け入れることができない操業停止に追い込まれた喜界島の生和糖業

製糖工場 糖蜜回収タンクの増設要望
県6月補正案国関連事業

 今月4日開会の県議会6月定例会に提案する県の6月補正予算案には、国の補正予算関連として新規に再編集約等加速化支援事業が盛り込まれた。共同利用施設の再編・合理化を支援するもので、2024~25年期の製糖期に工場の操業ができない事態に陥った糖蜜(製糖過程で生じる副産物)保管用のタンク増設で事業活用を目指す動きがある。

 補正予算案の一般会計総額は43億1600万円。この中に計上している再編集約等加速化支援事業は1億7583万円。国の新基本計画実装・農業構造転換支援事業補助金を活用し、地域農業を支える共同利用施設の合理化に取り組む産地に対して支援を行うもの。

 農産園芸課によると、対象となる施設は野菜の集出荷施設や農産物加工施設などで、生産者などが共同利用する施設が老朽化している場合の再編・合理化を促す。製糖関係で糖蜜回収用タンクの満量によりサトウキビの搬入受け入れができず操業停止となったのは、種子島の新光糖業、喜界島の生和糖業、奄美大島の富国製糖の3社。

 東京の糖蜜業者が手配する回収船2隻のうち1隻が昨年末に故障。回収する頻度が減り、糖蜜を一時的に保管するタンクの容量の問題で3社は操業を停止した。回収する船(ケミカルタンカー)の故障は長期化が懸念されたが、3月には船の修理が完了し運航が再開された。奄美の2工場のうち影響が大きかったのは生和糖業。搬入終了は4月25日で、当初の見込み(3月25日)より1か月も遅れた。糖蜜関係による操業停止期間は計15日間に及んだ。

 同課によると、こうした事態を受けて製糖会社2社からタンク増設などにあたり国の補助事業を活用できないか要望があったという。保管用タンクの増設と合わせてボイラー、圧搾機の整備などにより施設機能向上を目指す。同課は「補助事業の対象となるのは共同で利用されている施設。糖蜜保管用のタンク増設が対象となり採択されるかは国の判断になる」と説明する。