公示まで1か月

先月あった自民党奄美支部大会にそろって出席した三反園訓衆院議員と元職で鹿児島2区支部長の保岡宏武氏(手前は園田修光氏、奥は向井奉文奄美支部長)

4人が立候補表明、前哨戦
参院選鹿選挙区 物価対策など争点

 参院選は、県選挙管理委員会が設定するなど有力視されている公示日(7月3日)まで1か月に迫った。改選定数1の鹿児島選挙区には4人が立候補を表明しており、「令和の米騒動」が象徴する物価対策などを争点に前哨戦が展開されている。組織固めによる一体化、超党派による支援の広がりが当落を左右しそうだ。

 立候補を表明しているのは、自民党前議員の園田修光氏(68)、共産党新人で元県議の松崎真琴氏(67)、参政党新人で医師の牧野俊一氏(39)、無所属新人で元参院議員秘書の尾辻朋実氏(44)。尾辻氏は今期で引退する自民の秀久前参院議長(84)の三女で、立憲民主党の支援を受ける。

 改選数が1になった2001年以降、鹿児島選挙区は8回連続で自民が議席を独占してきた。昨秋の衆院選では、県内でも現職農相が落選するなど自民への逆風により四つの小選挙区のうち議席を確保できたのは1にとどまった。今回の参院選について「昨年の衆院時の輪をかけて自民党への逆風が大きくなっている」と危機感を強める。

 先月24日奄美市であり、実質的に園田氏の決起集会となった自民党奄美支部大会(総会)。奄美群島が含まれる衆院鹿児島2区の支部長に再任された元職の保岡宏武氏(52)と、昨秋の衆院選で保岡氏と対決し勝利、再選を果たし、その後今年1月に自民入りした同2区現職の三反園訓氏(67)が同席した。

 半年前の選挙で争った両氏が並んで座った会場内。来賓あいさつは保岡氏、三反園氏の順に行われたが、順番への説明があるほど両氏支持者への配慮を感じさせた。両氏の関係について言及する場面があったものの、「目標はたった一つ。(自民党が)参院選を突破すること。与党であるために園田候補を鹿児島から確実に押し上げよう」(保岡氏)、「森山幹事長から奄美の皆さんの支援をお願いするよう託された。皆さんのお力があれば園田先生の当選が実現する。もう少し、もう一押しお願いしたい」(三反園氏)と訴え、園田氏当選へ共に気持ちは一つを強調した。自民の組織票を固めるため、園田氏も支持団体へのあいさつ回りを重ねている。

 自民参院議員の秘書として活動してきた尾辻氏。長年の関わりから自民支持層に食い込み、保守票の取り込みも狙う。尾辻氏は秀久氏の後任を決める自民の公募で敗れた後、候補者擁立が難航していた立民県連幹部から声を掛けられて入党し、立候補を表明した。立民は公認候補並みの支援体制をとっている。先月25日に鹿児島市であった事務所開きには立民、社民党、連合鹿児島の関係者のほか、秀久氏を支援してきた元自民党県議らも駆け付けた。

 尾辻氏は公示を前に奄美群島入りし、支援団体へのあいさつ回りなどこなした。「2人しかいない鹿児島県の参院議員のうち1人ぐらいは右だとか左だとか関係なく、『鹿児島全体の皆さんの話を聞きに行き、頑張ります』という国会議員がいた方がいい」と語るなど超党派の立場を鮮明にしており、支持層の拡大で幅広い票の獲得を目指している。

 4人の中では最も遅く先月16日に立候補を表明した松崎氏。2日には奄美大島入りし、街頭演説を精力的に行い掲げている政策の浸透を図った。

 4月23日に参政党公認で立候補を表明した牧野氏。公示前の奄美入りの予定はないが、群島内の参政党所属の町議と意見交換するなど離島政策、特に離島医療の在り方について自らの経験とともに現状について把握するなど関心を示す。立候補会見では減税と積極財政の両立の必要性を強調。「消費税ゼロをはじめ幅広い減税で国民の手元に使えるお金を残し、財源については短期的に国債で賄い、長期的にはインフラ投資などで成長を促し国の収入を増やせる」と主張した。