アマンデーの信仰継承へ願い

大刈山山頂で参拝者に囲まれ、シマ唄を奉納する楠田莉子さん

保存会が大刈山参拝
甚句や祝い唄奉納も

アマンデー保存会(大山幸良会長)は4日、開闢(かいびゃく)の祖神・阿麻弥姑(アマミコ)の降臨地とされる奄美市笠利町の大刈山山頂を参拝した。例祭にあたる旧暦5月9日に合わせて、会員や地域住民らが登拝。シマ唄や甚句を奉納し、信仰の継承を願った。

神話では一般的に、女神のアマミコと男神の志仁礼久(シニレク)が奄美群島や琉球列島をつくったとされる。降臨地はアマンデー(奄美嶽)と呼ばれ、宇検村や大和村にまたがる湯湾岳だとする説もある。麓の阿麻弥姑神社には2柱がまつられ、中腹にある石碑は1971(昭和46)年に旧笠利町(現奄美市)文化財に指定されている。

参拝は、過去の慣習にならって今年から旧暦の5月9日に戻した。幼少期から信仰を受け継いできた大山会長(96)は体調を考慮して登拝を見送ったが、代わって娘の昇つた子さん(73)らが訪れた。

節田集落などの三つの立神が一望できる山頂では、お神酒で周辺が清められた後、コメや花、線香などが供えられ、祭りが執り行われた。傳重美さんは甚句、楠田莉子さんは祝い唄を奉納。昨年お布施で建立した鐘を打ち鳴らし、聖なる山へ手を合わせた。

昇さんは「父が来られないのは寂しいけど、地域にとっては大切な場所。来年も参りたい」と述べ、同会の亀島知郊(ちひろ)さん(42)は「本当に心が清められる。日本、世界にとっても大事な場所で、これからもしっかりと守っていきたい」と話した。