連携協定を締結した左から前登志朗和泊町長、国立国語研究所の小木曽智信副所長、今井力夫知名町長(5日、知名町エラブココ)
連携・協力校提携を結んだ下平川小の児童らと関係者たち(5日、知名町の下平川小学校)
【沖永良部】島ムニ(方言)の保存継承に向け、東京の国立国語研究所と沖永良部2町は5日、「島ムニに関する学術交流・その他の諸活動の発展に向けた連携協定」を締結し、同研究所と知名町立下平川小学校(西啓亨校長、児童62人)は全国初となる連携・協力校提携を結んだ。同研究所の小木曽智信副所長は「島ムニを途絶えさせないための取り組みが地域に根付いている。日本全国にある昔の言葉を継承していく活動のお手本になる」と期待を寄せた。
同研究所は2019年に、和泊、知名両町それぞれと連携協定を締結し、島ムニの調査研究や継承活動に取り組んできた。今回、島ムニに関する学術交流や保存継承に関する取り組みをさらに発展させようと、連携協定と協力校提携を結ぶこととなった。
協定事項は▽島ムニの調査、研究、継承活動に関すること▽人材、施設、設備の利用に関すること―など3項目。協定期間は28年3月31日まで。両協定ともに関係機関が合意したとき、期間を延長できる。
3者間による調印式は知名町エラブココで行われた。協定書に調印した和泊町の前登志朗町長は「島ムニは沖永良部島そのものであり、島ムニでないと表現できないものがある。沖永良部島が続いていくためにも守り伝えていく必要がある」。知名町の今井力夫町長は「言語が学術における一つの分野ではなく、社会の発展のために役立っていることを改めて痛感した。島ムニに誇りを持ち、次の世代に引き継いでいくのが私たちの仕事である」と述べた。
下平川小学校で行われた連携・協力校提携調印式で、知名町の田中幸太郎教育長は「この地域には、方言を子どもたちに教えたいという熱い思いを持った人がたくさんいる。島ムニのトップランナーとして頑張ってほしい」とあいさつ。島ムニ地域人材の4人が紹介され、町しまむに継承推進協議会の林富義志会長は「地域の人が長い間、ユシキャ(下平川)の子どもたちに方言を教えてきた。その成果が今回の提携につながった。両親にも島ムニを教えられるようになってほしい」と述べた。
調印した西校長は「ウヤホ(先祖)のみなさんと一緒に島ムニを楽しみながら話せるようになろう」と子どもたちに呼び掛けた。
式では、児童らが島ムニの継承活動のために作った曲「ユシキャのひーぬむん」を披露したほか、AIを使った島ムニクイズで盛り上がった。