県議会代表質問

県立大島病院内で費用縮減
血液製剤安定供給へ出張所設置
奄振交付金活用含め検討

 

 

 県議会6月定例会は9日、代表質問があり、自民党の松山さおり議員=奄美市区=、県民連合の前野義春議員=鹿屋市・垂水市区=が登壇した。松山議員が取り上げた奄美大島における血液製剤の安定供給で県赤十字血液センターの出張所を設置する場合の費用の試算が報告され、県立大島病院の施設内に設置した場合には縮減できる見通しを示した。

 伊地知芳浩・保健福祉部長の答弁によると、同センターの出張所を設置する場合、開設に約6千万円、運営経費として毎年約5千万円の費用を試算。同センター、大島郡医師会、県立大島病院、奄美大島5市町村の関係機関で構成する検討会で費用の削減に向けて検討したところ、同病院内に出張所を設置すると土地取得費用が不要となることから開設費用が約1500万円の減が見込まれ、血液製剤を必要とする医療機関が出張所に受け取りに来るとした場合、車両費や人件費が削減できることから開設費用が約900万円、運営経費が約1千万円の減が見込まれる。

 伊地知部長は「これらを合わせると開設に約4千万円(6千万円→4千万円)、運営費経費に毎年約4千万円(5千万円→4千万円)まで縮減できると試算された」と説明。費用負担軽減が可能か「引き続き関係機関と協議しながら奄振交付金の活用を含めて検討していく必要があると考えている」と述べた。

 悪天候時のブラッドローテーションの検討状況に関する答弁では、このブラッドローテーションについて適切に保管され、一定期間使用されなかった血液製剤をいったん返品し、他医療機関で利用してもらう仕組みと説明。伊地知部長は「ブラッドローテーションの実施にあたっては費用や作業の負担が大きいことから悪天候時に限定した取り組みについて検討会で協議を重ねてきた。今月2日に開催した検討会で協議を行い、奄美大島における血液製剤の安定供給を図るため、まずは悪天候時のブラッドローテーションを実施することとし、関係機関の準備が整いしだい開始することで了承された」と述べた。

 松山議員は再質問で血液製剤の安定供給は「奄美群島における人の命にかかわる喫緊の課題」と強調し、早急な取り組みに向けて知事の決意を求めた。塩田康一知事は「たいへん重要な課題」とした上で「ブラッドローテーションの効果等をしっかりと見極めた上で引き続き出張所の設置を含めて検討会で協議していく」と答弁した。

 奄美でも県立大島病院を拠点としたドクターヘリが運航されている中、長崎県の事故を受けて安全運航体制に関する質問があった。答弁によると、安全運航に向けては▽国家資格を保有する整備士がヘリ出発前に確認する日常点検に加えて年1回の耐空検査により詳細に点検▽県ドクターヘリ運航調整委員会で安全運航手引きを作成し医療や消防の関係者に配布▽搭乗する医師や看護師に対して非常時における機外への脱出、救急用具の使用について定期的に講習―などの対応を実施。運航の可否は、機長が気象レーダーによる天候状況などの情報収集を行い出動判断している。

 11日から一般質問に入る。