20人が参加して開講した奄美市の公民館講座「島ゆむた『実習講座』」(8日、奄美市名瀬の名瀬公民館)
全国で話し言葉の「共通語化」が進み、言語の消滅危機と言われる奄美の方言の普及などを目指す奄美市の公民館講座「島ゆむた(方言)『実習講座』」が8日、同市の名瀬公民館(奄美市名瀬長浜町)で開講した。講師3人を含む20人が受講。来年1月までの全8回、奄美各地の方言や歴史などを学ぶ。
島ゆむた『実習講座』はユネスコが「危機的な状況にある言語」の一つとしてリスト入りした奄美方言の継承や保護などを目的として、中原正廣さん、中勉さん、宮山紘一さんの3人を中心に、喜界島出身で同講座の顧問を担当する向井奉文さんらが、今年度から奄美市の公民館講座の一つとして実施している。
初回は手渡された資料を基に、三味線とチヂン(太鼓)を伴奏として童謡の「ごんべさんの赤ちゃん(おぼこりの歌)」の替え歌を奄美と喜界島の方言で歌った。 講師や受講生らが自己紹介し、自身の出身地や受講をしようとしたきっかけの発表後、奄美群島にある「ありがとう」の言葉をそれぞれ解説。歴史では過去に「方言を使用したら罰として木札を首からぶら下げさせられる」、「標準語でしゃべることを強いられた」などのエピソードの紹介もあった。
受講をした市内在住の女性(59)は「学校で教師をしている。共通語だけではなく、島の言葉を使って子どもたちに教えることができれば」と語った。
講座を主催した中原さん(75)は「方言は地域の人々の文化や歴史を伝える重要な要素。方言を継承していくことは、地域文化の多様性を守り、地域のアイデンティティーを維持することにつながる。試行錯誤しながらだが、少しでも奄美の方言を発信していきたい」などと語った。
講座は毎月第2日曜日の午後2時~同4時、同館で開催する。受講に関する問い合わせは中原さん。電話090・8418・8294へ。