県内一漁協設立に向けた取り組みが進む中、名瀬漁協も参加を目指し経営改善計画を策定している
県内にある沿海地区漁協は合併により「県一漁協」設立を目指しているものの、取り組みが長期化している。2023年度決算では41漁協のうち約3割が繰越欠損金を計上しており、こうした各漁協間の経営状況の格差が合併をスムーズに展開できない原因だ。
9日にあった県議会6月定例会代表質問で挙がった。商工労働水産部の北村貴志部長の答弁によると、県内漁協は近年、組合員の減少や生産コストの増加により厳しい経営環境にある。経営基盤強化や組織運営効率化へ1999年度から合併協議を進め、「県一漁協」に向けては07年度、県や県漁連、県内全ての沿岸漁協等を構成員として「鹿児島県一漁協合併推進協議会」を設立、各漁協の財務状況調査などが進められた。
各漁協の経営状況が異なることや離島を含む広域合併のため漁協の合意形成が難しく、合併に向けた取り組みは一時的に中断。その後、20年4月に準備の整った6漁協が合併し、鹿児島県漁業協同組合が発足した。北村部長は「県一漁協設立の目標期日が26年4月1日に延期となったものの、県漁連を中心に各漁協の合意形成に努めるとともに設立後の組織体制や運営方法に関する協議が行われている」と説明。合併取り組みが長期化している原因として「各漁協間の経営状況の格差によるものが大きい」とした上で、固定化した債権や欠損金解消を重要な課題として挙げた。
「県一漁協」設立へ県は支援を行っている。合併活動経費や各漁協の借換資金の保証料の補助など。今後については設立される合併漁協が安定した財政基盤の下に経営できるよう、どのような支援が必要か検討していく考えだ。
奄美群島にある漁協のうち名瀬漁協は「県一漁協」参加へ赤字額解消に向けた経営改善計画を策定中。7月に臨時総会を予定しており、この中で同計画を諮り組合員の了承を得る。