奄美地区地域支え合い協議体、名瀬中で講演

地域支え合い活動について説明する重井さん(14日、奄美市名瀬の名瀬中学校)

 

 

 

タオルを使ったストレッチ方法を生徒たちに教えた津田さん夫妻

 

 

 

3組が経験踏まえた視点で生徒に語る

 

 

 奄美地区地域支え合い協議体主催の地域との交流・出前授業が14日、奄美市の名瀬中学校(中熊一仁校長、生徒177人)の体育館であった。奄美地区生活支援コーディネーターの重井英二さん、新川ふれあい食堂を主宰する加世田陽子さん、理学療法士の津田和也さん、ゆう妃さん夫妻の3組が登壇。生徒たちにこれまでの経験などを踏まえながら伝えたいことをそれぞれの視点で語った。

 出前授業は、同協議体が名瀬中学校に地域の大人からそれぞれの分野の話を聞くことで地域社会に興味を持ってもらうことや将来に役立ててもらうなどを目的に年1回開催されており、今回で8回目。

 1組目は重井さん自身が名瀬中出身であることなど自己紹介をしつつ、奄美地区支え合い活動について説明。新川ふれあい館を拠点に七夕飾りや秋祭り・豊年祭などを開催しており、幅広い世代間の交流を実施することで「好きな活動だから参加する=楽しい」を入り口に、地域で自分の居場所を見つけている。「皆さんもメンバーになって地域の現在を見つめ、未来を一緒に考えてみませんか」と呼び掛けた。

 2組目の加世田さんは民生委員も務めており、毎月第2日曜日に新川ふれあい館で行っている「新川ふれあい(子ども)食堂」について説明。コロナ禍でふれあい館が休館を余儀なくされた時、自問自答しながらも地域食堂を作ろうと奔走し、「新川ふれあい食堂」を立ち上げた。当初、皆で一緒に食べることを目的にしていたが、24年の5類移行後、「持ち帰りができないなら要らない」と言葉にショックを受けたという。他の地域での事例や会食恐怖症などの要因があったことが分かり、「自分の理想を振りかざして人の役に立っていたという傲慢(ごうまん)があった」と振り返り、柔軟に対応することで改善したという。これまでの経験から「地域のために何ができるのかを労力や損得勘定なしに活動している方が多く、それが今につながっている。それを皆さんが未来につなげてほしい」となどエールを送った。

 3組目は津田さん夫妻が「運動することの大切さ」をテーマに説明。

 まず、夫妻は理学療法士の役割について病院や訪問介護のほかプロスポーツの現場などでも働いていると説明。また、「小さい時に運動をしておかないと大人になった時に、自身の健康が維持しにくくなる」と語った。リハビリでは▽触覚▽平衡感覚▽固有感覚(自分の体がどう動いているのか)―三つの感覚を意識して実施していると説明。より理解してもらおうと、生徒たちと一緒に背中の後ろで指を組んだり、前屈して手が床につくのかを確認。タオルを使ったストレッチ方法などを生徒たちに教え、「姿勢がよくなるとスポーツでのパフォーマンスが上がる」などの利点を説明した。

 講演を聴いた2年の重田将(しょう)さん(13)は「生活の中での体の使い方や子ども食堂の歴史などを学べた。空手をしているので今日学んだことを家でも実践していきたい」と語った。