「世界自然遺産とハブ」に関し、東天城中学校で出前事業を行った〝ハブ博士〟の服部正策氏=14日、徳之島町
【徳之島】徳之島町立東天城中学校(大田耕造校長、生徒数44人)で14日、奄美大島で長年にわたりハブなどの野生動物を研究してきた「ハブ博士」こと服部正策氏(72)が講話を行い、生徒たちは徳之島の自然環境と野生動物への理解を深めた。
授業は、NPO法人徳之島虹の会が受託する「ハブとの共存に関わる総合調査事業」の一環で行われた。服部氏は東京大学医科学研究所・奄美病害動物研究施設で約40年にわたり奄美群島を対象に研究を重ね、現在は出身地の島根県邑南町を拠点に農業と研究活動を両立させながら、奄美・徳之島への訪問調査を続けている。
講話では、徳之島が世界自然遺産に登録されるまでの背景や、固有種の多様性、同島に生息するハブの特徴などを分かりやすく解説。「徳之島は山から海までの自然の連続性が少ない」などの理由で、かつて登録から除外されそうになったという裏話も披露した。
特に徳之島の生物多様性に触れ、「オビトカゲモドキ(徳之島固有種)など、島ごとに異なる固有種が存在し、世界に誇る自然環境」と強調。一方で、本土における保護獣のシカと同様に、アマミノクロウサギの個体数増加による農作物への影響など懸念も示し、保護とのバランスが重要と訴えた。
徳之島のハブの特徴では、目が白い個体(100匹に1匹)、赤やピンクの希少な体色を挙げ、性格面では、沖縄産に比べて攻撃性が高いことなどを紹介。さらに過去の捕獲データから、東天城中の裏山から河川への移動経路にもなることから「ハブのホットスポット」である可能性にも言及し、生徒らに注意を呼び掛けた。
質疑応答では、咬傷(こうしょう)防止策として「長靴の着用」「ハブは毒に頼るが力は弱い」「ハブは夏の日中の直射日光に弱い」などの具体的な助言も。さらに「死んだふりをすることがあるので油断は禁物」と、生徒や地域住民に向けて警鐘を鳴らした。
講話後、生徒を代表して3年の高橋茜さんは「世界自然遺産や、私たちの身近にいるハブの特徴を学べて良かった。今後の生活にも役立てたい」と感謝の言葉を述べた。
15日午後1時半からは、徳之島世界遺産センター(同町花徳)で一般対象の講演会(入場無料)も開かれる。