徳之島で「島唄つなぐコンサート」

「とうばる芸者」精神で大いに沸かせたとうばる青年団の「稲すり節」=15日、徳之島町文化会館

奄美島唄で競演
とうばる芸者魂も沸騰

 【徳之島】第3回「島唄つなぐコンサート」(徳之島町文化会館主催)が15日、同町文化会館ホールであり、奄美群島を代表する島唄と伝統芸能が一堂に会した。「奄美の島々の唄くらべ~島々の暮らしの中で生まれたウタ文化~」をテーマに、4島から集った唄者(うたしゃ)たちが、各地域に息づく物語や哀歓を込めた歌声で、観客約400人を魅了した。

 コンサートは、島唄を通して奄美各島の文化の魅力を再発見し、若い世代へと継承することを目的に毎年開催。徳之島の素朴な唄文化に興味を抱くきっかけにもなっている。

 徳之島代表として登壇したのは、東三彦さん、富田良一さん、實夏三さん、富育美さん、森田美咲さんら5人。地元に根づいた「井之川朝花」と「亀津朝花」の違いや、「徳之島一切節」、「犬田布節」、「長菊節」などを披露。歌詞や由来の解説が加えられ、スクリーンには歌詞も映し出されるなど、観客は共に口ずさみながら聴き入っていた。

 また、伊仙町西犬田布(通称・とうばる)から出演した「とうばる青年団」は、伝統の「稲すり節」にユーモラスな演出と振り付けを加え、会場を沸かせた。かつて島の娯楽の一翼を手作りの庶民演芸で担った「とうばる芸者」の精神を現代によみがえらせるような熱演に、拍手が広がった。

 各島の唄くらべでは、喜界島編を指宿桃子さん、奄美大島は松山美枝子さんと平田まりなさん、徳之島は中島清彦さん、沖永良部島からは波多野雅也さんが登場。全25曲が披露され、最後は出演者全員による「ワイド節」と「六調」でフィナーレを飾った。

 来場していた徳之島町亀津の郷土研究家・亘住男さん(78)は、「私は歌うのは苦手だが、歌詞は全て頭に入っている。島唄は全て漢字で表記できるほど意味があるもので、島口こそがその基礎。(出演者たちのように)次の世代に教え伝える人たちがいることが何より大切」と語った。