4候補者が第一声、舌戦始まる

第27回参院選 鹿児島選挙区

 

消費税減税、物価高対策など争点

参院選は3日、公示され、20日の投開票に向けて17日間の選挙戦に入った。鹿児島選挙区に立候補した無所属新人の尾牽朋実氏(44)、参政党新人の牧野俊一氏(39)、自民党元職の園田修光氏(68)、政治団体「NHK党」新人の山本貴平氏(50)=届け出順=の4人は大票田の鹿児島市内で第一声を上げた。消費税減税や物価高対策、政治改革などを争点に舌戦を開始。候補者は遊説に繰り出し、有権者を前に支持を訴えるなど、選挙戦の火ぶたが切られた。

尾辻朋実候補

◎「温かい政治を取り戻す」
◎尾辻氏陣営

午前9時頃、鹿児島市加治屋町の事務所に隣接する維新ふるさとの道公園で出陣式。尾辻候補は「今こそ政治を変えなければならない。この国の政治を温かく血の通ったものに取り戻す」と第一声を上げた。

会場には、大勢の支持者らが詰めかけエールを送った。柳誠子選対委員長は「今の政治を続けていては鹿児島が疲弊する。一致団結で戦い抜こう」と強調。応援演説で来鹿した立憲民主党の大串博志代表代行兼選対委員長は、「政権交代の道筋を作りたい。鹿児島は最、最、最重要地区。尾牽さんの決死の覚悟。共鳴し、生かせるよう支えていきたい」と約束した。

マイクを握った尾辻候補は、「政治は遠くにあるものではなく、近くに在って困った時はすぐ駆け付けなければならない」と主張。「近年は、一次産業が置いて行かれた20年だった。みなさんの近くに温かな政治を取り戻す。このため残りの17日間を駆けたい」と訴えた。

 最後は「頑張ろう三唱」で気勢を上げ、市内へ遊説に繰り出した。

牧野俊一候補

◎「食料安全保障最も大事」
◎牧野氏陣営

午前11時、鹿児島市山下町にある選挙事務所でボランティアスタッフらを前に決意表明。その後、趣味でもあるスポーツサイクルに乗り金生町にある山形屋百貨店前に移動、選挙カーの上に立ち第一声を上げた。

照りつける日差しを気にする様子もなく訴えたのは、経済再生への強い思い。「円建ての国債は、借金ではない」と語気を強め、「経済を発展させる必要がある。モノやサービスの供給能力が国の経済の根幹であり、これをいかに育て守っていくかが国家の責任」などと訴えた。

また、食料安全保障が国家にとって最も大事であると強調し、「農業従事者がもうかる仕組みを作り、耕作放棄地を解消していくことで日本の文化や伝統を守ることにつながる」と話した。

牧野候補は「アメリカやヨーロッパは農家の収入の90~100%を国が保証している。それが当たり前。食料安全保障は国家を支える一番の土台」と重ねて訴えた。

園田修光候補

◎「『園田丸』国会へ届けて」
◎園田氏陣営

午前9時、鹿児島市浜町のかんまちあで出陣式。自民党、公明党選出の国会議員や首長、県議らも大勢駆け付け、園田候補は「『園田丸』をぜひ国会という港に送り届けてほしい」と意気込みを語った。

後援会長で海洋冒険家・今給黎教子氏が「いよいよ『出航』の用意が整った。園田さんを船長に、目指すは国会議事堂」と気勢を上げた。応援演説には選対委員長の野村哲郎参院議員ら県選出の国会議員、塩田康一知事、鹿児島市の下鶴隆央市長らが登壇。塩田知事は「尾牽秀久さんの後継者にふさわしいのは園田さん」と強調していた。

マイクを握った園田候補は、トカラ列島沖で頻発する地震や新燃岳の噴火に心を寄せ「国民の命と暮らしを守るのが政治の使命」と力を込めた。衆参合わせて10年の国会議員経験があり、医療・福祉分野に力を入れて取り組んできた。「使いがいのある男。ぜひ国会で仕事をさせてほしい」と訴えた。最後に全員で「頑張ろう!」を三唱し気勢を上げた。

山本貴平候補

◎「不法外国人問題に力点」
◎山本候補

山本候補は、他の3陣営が県庁で立候補届け出を終え、出陣した後の午前9時過ぎ、届け出会場に旅行ケースを携えたまま到着した。その後、県庁前の広場で第一声。「党の新しい公約」だとして、「オーバーステイなどルールに従わない不法外国人問題に、政治の立場から強く取り組みたい」と7分間ほど語った。

平日の午前中で、近くを歩く市民はいなかったため、そのまま報道陣からの質問に答えた。「政治とカネ」問題については「メディアで騒がれているが、政治の足かせになっているか不明な点がある。まずは収支報告書をガラス張りにすること」と語った。

当選したらこれまでの経歴をどう生かすか、という質問には、「これまで同様、NHK受信料問題の相談の最前線に立つ」と答えた。今回、鹿児島選挙区からの出馬は「党の方針」らしいが、「鹿児島の観光振興、治安対策に取り組む」と語った。4日午後、NHK鹿児島放送局で政見放送を収録したら鹿児島を離れる予定だ。