「天候調査中」を伝える掲示板(4日、鹿児島空港)
新燃岳の連続噴火による影響で混雑するカウンター(4日、鹿児島空港)
鹿児島、宮崎両県にまたがる新燃岳(1421㍍)の6月27日から始まった連続噴火による影響は鹿児島と奄美群島などを結ぶ航空輸送にも大きな影響を与えた。
3日午後、鹿児島空港は出発を待つ旅行客らでロビーは人であふれていた。徳之島行きや喜界島行きの欠航を告げるアナウンスが流れると、ため息をつく人や、スマートフォンで会社や家族との連絡を取る人の姿が見られた。
定刻午後4時55分発奄美大島行きの出発を待つ人にも不安の表情が浮かぶ。
その間、なんとか発着する便もあったが、滑走路を離発着する機体の後方には、降り積もった火山灰が砂嵐のように舞い上がり、向こうの景色が全く見えなくなる光景が繰り返された。
午後4時半過ぎ、この便の欠航を告げるアナウンスが流れると、3階ロビーで待っていた人は急ぎ足で1階カウンターに急いだ。 4日以降への搭乗便の変更やキャンセルの手続きを急ぐためだ。
またたく間にカウンター前に長蛇の列ができる。列に並びながらレンタカーの手配や、ホテルの手配、翌日以降の仕事について上司の指示を仰ぐような人もあった。
奄美大島行きに搭乗予定だったという奄美市の会社員(65)は「ひとつ前の便が飛び、なんとか帰れるかと思ったが残念だ。ホテルが取れればいいが」、出張で来ていたという奄美市の職員(32)は「台風で足止めされたことはあったが火山灰は初めて。船便に切り替えるのが無難だろうが、仕事に影響が出る」と話した。
4日午前から昼頃にかけても前日と同じような状況が続いた。東京行き、大阪行きなどの便の欠航を告げるアナウンスが流れると、新幹線に乗り換えようとする人が、鹿児島市内行きの空港バス乗り場に長蛇の列を作った。 その後も、運航状況を伝える掲示板には、「天候調査中」の表示が並んだ。
正午を境に状況は一変。沖永良部や与論行きの便が次々と飛び立った。奄美大島行きは、奄美大島からの到着便が大幅に遅れ、定刻午後1時10分発の便が1時間以上の遅れとなったが出発。その後、大阪行き、東京行きの便も出発した。
空港関係者は「噴火は続いているが、風向きが変わり、視界にも問題がなくなり出発できるようになった」と説明した。また、「噴火や降灰の影響で、今後も同様の事態が生じる可能性がある。旅行、出張などの際は、こうした事態を想定し、十分に準備してほしい」と話した。