喜界町で行われた塩田知事との「ふれあい対話」
塩田康一知事と県民が直接語り合う「ふれあい対話」が5日、喜界町役場コミュニティーセンターであった。推薦や公募で選ばれた町民を代表する10人が地域が抱える農業課題で議論。農作物の物流体制や若い働き手の確保、技術者育成といった課題に向き合った。
ふれあい対話は、知事が公約に掲げる施策の一つ。喜界町開催は1期目の2023年1月以来で、2期目からは市町村ごとに課題となるテーマを設定し行っている。
同町のテーマは「農業の稼ぐ力の向上」で、知事のほか、松藤啓介大島支庁長ら県大島支庁幹部6人も同席。会は一問一答形式で進められ、約100人が傍聴した。
代表者からは、▽フェリー減便に伴う農作物の鮮度低下などに関する課題▽セグロウリミバエの侵入阻止▽ハーベスター技術者の育成と確保▽子牛価格低迷に伴う兼業農家への支援拡充▽効率化に向けたスマート農業化やほ場拡大の推進―といった課題や要望が知事に投げ掛けられた。
フェリー減便に伴う影響について塩田知事は「船舶会社の人手不足が深刻。まずは船員確保の支援が必要だ」と指摘。新たな機械の導入や土地改良に伴う効率化については「少子化の中でスマート農業化やほ場拡大は有効。町などとも相談しながら生産性効率化向上の支援につなげたい」と答えた。
若い働き手や技術者の確保を巡っては「島外からの移住定住、外国人労働者の受け入れなども有効。特定労働組合の活用、(収穫期の違いで労働者を融通し合う)他県との組み合わせなど、いろいろ考えたい」と強調。稼ぐ力の向上へは「商工事業者との連携を中核に裾野を広げ、拡大していくことが大事。農産物の6次産業化、販路拡大などにしっかりと取り組み、観光業者との連携など、いろんな施策を検討していきたい」などと考えを示した。
県立農業大学校に進学し、将来はサトウキビ生産農家に就きたいという喜界高校3年の佐藤匠真さん(17)は、サトウキビを専門に学ぶ学科を農業大学校に設けるよう知事にぶつけた。「小さい頃からサトウキビの現場や流通を見てきて不安もあった。(ただ)農業についてはすごく知識のある知事だったので、これからも農業に力を入れてほしいと思った」と話した。
知事はこの日、パッションフルーツやトマト、畜産といった農家、ハーベスター技術者や加工施設などの視察も行った。