セグロウリミバエなどミバエ類を誘殺するトラップ。中央部分に誘引剤があるが、強力なミカンコミバエ用の誘引剤とは異なる

セグロウリミバエ(沖縄県提供)
主にウリ科の果菜類に被害を与える重要な害虫セグロウリミバエは、沖縄県で継続的な誘殺及び果実への寄生が確認され、今年4月から沖縄本島からのウリ科等植物の移動が制限される「緊急防除」が実施されている。奄美群島でも沖縄本島に近い与論島や沖永良部島で調査用トラップ(わな)による誘殺が続いており、新たに奄美大島で確認された。防除では果樹・果菜類の害虫ミカンコミバエと異なり強力な誘引剤がないのが現状で、警戒が必要だ。
農林水産省植物防疫所は4月以降の鹿児島県におけるセグロウリミバエの誘殺状況を週まとめで公表(ホームページ)している。最新の今月15日~21日はゼロだったが、前週(8日~14日)は計20匹誘殺。市町村別は知名町4匹、和泊町1匹、与論町14匹、龍郷町1匹。この誘殺数を含めて最も多いのは与論で計88匹に達している。次いで知名町の34匹で、県内での誘殺は奄美群島のみで今月21日現在の合計数は126匹。
植防では防除方法として雄除去法(誘引剤と殺虫剤を染み込ませたテックス板〈誘殺板〉による防除方法)を挙げる。門司植防や県経営技術課によると、調査で設置しているトラップ内には雄を引き寄せる誘引剤を置くが、ミカンコミバエで採用している誘引剤(メチルオイゲノール)は「強力で雄成虫を大量に誘引し、テックス板で殺虫して防除できる」。これに対し、セグロウリミバエは他のミバエ類同様、雄成虫はミカンコとは異なる誘引剤(キュウルア)で誘引している。
このためミカンコと違い「トラップに入りにくい。誘殺されてもこれが飛来数の全てではなく、誘引されていないものが周辺にある程度いると認識すべき。ミカンコ以上の警戒が必要」との指摘が専門家から出ている。ベイト剤(ミバエの好む餌と殺虫剤を混合した薬剤)や薬剤を染み込ませた簡易誘殺資材による防除が進められているが、「一定の効果はあるものの、トラップに入りにくくなっているのではないか」という見方もある。
誘引剤の防除効果がミカンコミバエとは異なることから、飛来したセグロウリミバエの発生・定着を防止するには、地道な防除の積み重ねが必要だ。門司植防は「不要な果実については自主的に排除するなど協力をお願いしたい。また、ウリ類などの家庭菜園は控えてほしい」と呼び掛ける。県は農業者に対し、ウリ科野菜等の寄主植物の栽培を行う場合は、害虫防除(農薬散布)を適切に行うよう要請している。現在、登録農薬はないが、県病害虫防除所ホームページで公表している「技術情報第9号」掲載の農薬による防除が可能という。
セグロウリミバエ 体長約8~9㍉の小型のハエの一種。主にウリ科(キュウリ、スイカ、カボチャ、メロン、トウガン、ニガウリ、ヘチマ等)。このほかナス科(トマト、ピーマン、トウガラシ等)、パッションフルール、スモモ、パパイア、ドラゴンフルーツ、グアバ、インゲンなどにも寄生する。沖縄県では、家庭菜園のウリ科生果実で寄生が確認されている。海外のデータでは、かんきつ類への寄生も報告されている。
雌が果実に産卵し、果実内で幼虫の食害が進行すると果実が腐敗・落果。幼果から熟果まで、広い生育段階の果実に産卵する。世界の発生地域は中国、台湾、インド、東南アジアなど。

