研究蔵書1829冊を伊仙町に

約30年間の研究資料など蔵書1829冊を伊仙町に贈った高宮広土氏(右)=23日、同町役場


高宮氏が贈った蔵書の一部(提供写真)

琉球列島「島嶼文明」研究の資料 高宮氏寄贈
地域の未来に託す

 【徳之島】元鹿児島大学国際島嶼研究センター教授で奄美考古学会会長の高宮広土氏(66)=札幌市在住=が、自身の研究成果をまとめた著書を含む研究資料の蔵書1829冊を伊仙町歴史民俗資料館に寄贈した。23日、同町役場で寄贈式があり、町教育委員会側は、貴重な知的財産の地域教育や研究への有効活用方針と感謝を述べた。

 高宮氏は那覇市出身の人類学博士。札幌大学文化学部教授などを経て2015年から鹿児島大学同センターで教職に就き、「島嶼文明」の概念を提唱するなど、約30年間にわたり琉球列島の先史・中世における農耕文化や社会組織の研究に尽力。沖縄文化研究賞(2002年)、沖縄研究奨励賞(07年)などを受賞し、集大成の著書『奇跡の島々の先史学』などを通じて先史時代の理解を広めた。

 一挙に寄贈した蔵書には、自著・共著をはじめ、琉球列島を中心に世界の考古学、人類学、農耕文化に関する研究書、奄美・沖縄各地の自治体が発行した調査報告書などが含まれている。

 高宮氏は寄贈式で「定年退職を機に、これまで世界中から収集してきた本を最も有効に活用できる場所として伊仙町が思い浮かんだ。研究者だけでなく一般の方にも役立ててもらえたらうれしい」と語った。

 町の幸田順一郎教育長は「高宮先生の長年のご指導とご厚意に深く感謝する。町としても最大限活用していく」と述べ、同席した松岡由紀・町誌編纂室長も「一般の方にも理解しやすい内容が多く、新しい町誌づくりにも大いに参考にしたい」と話した。

 同寄贈式では、過去に蔵書・史料を町に寄贈した穂積重信、甲元眞之、三上詢子、宮岡猛、大村達郎、永喜久一、平島勇夫、糸仙二郎、泉吉久、平陽子、安里嗣淳、窪田セツ、宮城弘樹の計13氏(故人含む)への感謝の意も発表した。