【準決勝・れいめい―鹿児島実】9回裏れいめい二死一二塁、一走・山口が生還、逆転サヨナラ勝ちを決める=平和リース
【鹿児島】第107回全国高校野球選手権記念鹿児島大会第17日は24日、鹿児島市の平和リース球場で準決勝2試合があった。
れいめいは九回表に鹿児島実に逆転されたが、その裏2点を返して、劇的な逆転サヨナラ勝ちで1980年以来45年ぶりとなる夏決勝を勝ち取った。神村学園は延長十二回に及んだ樟南との死闘を制し、3年連続の決勝進出を果たした。
25日は休養日。最終日は26日、同球場で午前10時5分から神村―れいめいの決勝戦がある。
これまで秋、春、県選抜大会での決勝進出や優勝はあっても、夏の決勝は45年間なかったれいめいが、劇的な逆転サヨナラ勝ちで夏決勝の扉をこじ開けた。「これまで負け続ける中で得るものがたくさんあった。選手たちがよく成長してくれた」と湯田太監督は選手全員の頑張りに賛辞を惜しまなかった。
勝利を引き寄せたのは「攻める気持ち」(4番・碇山和尚・赤木名中卒)と「つなぐ野球」(湯田監督)だった。八回まで完璧な投球で鹿児島実打線を抑えていたエース伊藤が九回、先頭打者に特大ソロを打たれてから、勝ちを急ぎ、集中打を浴びて逆転を許した。
九回裏の攻撃も簡単に二死。このまま鹿実の軍門に下るかと思われたが「最後までベンチの誰もが諦めてなかった。攻める気持ちを持ち、とにかく塁に出ることだけを考えた」と4番・碇山がフルカウントから粘って四球を選ぶ。
「(碇山)カズがつないでくれた。自分が最後の打者になるわけにはいかなかった」と幼稚園からの親友・濱田勇人(赤木名中卒)が左前打でつなぐ。敗北の瀬戸際まで追い込まれても、力投を続けてくれた伊藤を負け投手にするわけにはいかない気持ちで全員が一丸となった。最後は「思い切って振り抜くだけだった」6番・矢野航成が右前打。打球処理がもたつく間に、碇山に続いて濱田の代走だった山口が、勝利の本塁へ頭から滑り込んだ。
45年ぶりの決勝をかけて県大会44連勝中の王者・神村学園に挑む。強敵だが「れいめいの野球をやれば必ず勝てる」と濱田。準決勝はしびれるような接戦だったが、碇山は「楽しかった」と言う。力まず楽しめるかどうかも、勝敗のポイントになりそうだ。
(政純一郎)

【準決勝・神村学園―樟南】延長12回裏神村無死満塁、4番・梶山が四球を選び、3時間4分に及んだ熱戦に決着をつけた=平和リース
「お前、持ってるなぁ。すごい巡り合わせやぞ!」
八回裏、二死満塁で打席に立つ6番・西原維吹に小田大介監督は声を掛けた。31年前の94年夏、甲子園決勝で樟南と佐賀商が対戦。樟南の優勝を阻んだ劇的な満塁本塁打を放ったのが、西原の父・正勝さんだった。
当然試合に集中していた西原は、そんなことを思い出す余裕はない。だが、監督に言われて表情が緩み、リラックスして打席に立てた。スコアは1―2で1点ビハインド。自分の仕事は父のように満塁弾を打つことでなく「ボールをしっかり見極めて、自分らしい打撃をする」ことだ。きっちりボールを見極め、押出し四球を選び、試合を振り出しに戻すことに貢献した。
序盤から流れをつかめず、力みや硬さが攻守のミスにつながり、ずっと重苦しい展開だったが「苦しい試合になることは予想できていた。終盤勝負、タイブレークの勝負になることは想定済みで準備していた」と小田監督は言う。
タイブレークの十二回裏、3番・今岡主将、4番・梶山がボール球をしっかり見極めて、連続四球押出しで3時間4分の我慢比べに決着をつけた。「今までの今岡や梶山だったら、ボール球を振らされて三振してたかも」と小田監督。「自分が決める」と力むのではなく、チームのスローガンである心を一つにして後ろにつなぐ「継打一心」に徹した。「チームのために、3年生を甲子園に連れていくために、今自分がやれることに全力で集中した」と2年生4番・梶山侑孜は言う。
苦しい試合の中でもそんな姿が垣間見えたことに、小田監督は「継打一心がようやくチームに浸透してきた」手応えを感じていた。
(政純一郎)

