県は2日、県内で2024年度に発生した野生鳥獣による農作物被害額(速報値)をまとめ、公表した。県全体では前年度比81%増の5億4021万8千円となり、過去10年間で最高額。地域別で最多となった奄美は180%増の1億2293万2千円で、タンカン食害が深刻となっている国の特別天然記念物アマミノクロウサギによる被害額は約1千万円となった。
農村振興課によると、県全体の被害額で獣類計は2億8758万1千円となり前年度比は14%増。最多はイノシシの1億8283万1千円で、全体の6割強を占めた。鳥類計は2億5263万7千円で、同450%増と大幅に増えた。約14倍となった最多のヒヨドリ(2億2035万9千円)は鳥類全体の87・22%と9割近くに及び、鳥類被害のほとんどはヒヨドリによるもの。
作物別は果樹が最多の1億5864万9千円(前年度比160%増)、次いで水稲1億2348万9千円(同20%増)、イモ類1億1714万7千円(同187%増)、野菜1億74万4千円(同94%増)までが1億円以上の被害額。イモ類は奄美でも被害が出たバレイショを含む。
奄美の状況をみると、獣類(計3482万4千円)ではイノシシが最多の2126万4千円、次いでその他の1356万円。その他にはクロウサギ被害(1035万6千円)が含まれている。クロウサギ被害は鹿児島大農学部の報告によると、17年度は77万円に過ぎなかったが、19年度には509万円まで増加。22年度743万円、23年度983万円となり、24年度には1千万円を超えた。特産果樹タンカンの食害では「一番栄養がある」とされる皮の部分がかじられることで、幼木では枯れる被害が出ている。
鳥類(計8810万8千円)は最多のヒヨドリが8098万4千円で、鳥類全体の91・91%とほとんどを占めた。他はカラス(529万9千円)など。同課によると、ヒヨドリ被害では伊仙町(約4千万円)が目立ち、葉を食い荒らすなどバレイショに食害が及んだ。
最多の奄美に次いで多いのは熊毛(1億780万円)で、前年度比653%増と奄美以上の大幅な増加となった。
県は、野生鳥獣による農作物被害の防止・軽減対策を効果的に進めるため、9~10月を「鳥獣被害防止運動強化月間」に設定し、運動を展開中。被害防止には「秋から冬の『えさ場』をなくして、鳥獣を『寄せ付けない』ことがポイント」として、農地や集落内での鳥獣の「えさ場」「隠れ場所」をなくす取り組みの実践を呼び掛けている。

