商品の付加価値を高めての価格転嫁についての発表もあった県主催の価格転嫁・交渉セミナー
県の今年度新規事業(価格転嫁の円滑化促進事業)、価格転嫁・交渉セミナーが9日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。売上を伸ばし、もうけを残すには「適正な価格転嫁(価格設定)が必要」とし、価格転嫁・交渉のポイントでは強みなど「自社の付加価値把握」も挙げた。地元事業所による事例発表でも原材料へのこだわりが生み出す商品開発が付加価値となり、値上げしても購買につながっていることを報告した。
商工政策課によると、事業者による価格転嫁の円滑化を図るためセミナーを開催。基礎知識、事例紹介やワークショップといった内容で、有限責任監査法人トーマツが講師を務めた。県内3会場での開催で、奄美市は鹿児島市(8月26日)、鹿屋市(9月2日)に続いて。会場参加(申し込み12社)のほか、オンライン参加(同18社)もあった。
セミナーでは価格転嫁の基礎知識、交渉のポイントの説明があり、転嫁率で見た場合、原材料費は転嫁しやすいものの、労務費は難しい状況にある。ポイントとして①取引先からの引き合い段階で、業務内容や取引条件を確認(確認しないで進めると追加コストが発生することから、業務フロー・チェックリストを作成し、不確定要素の事前確認に活用)②取引に必要なコストデータは定期的に収集(情報の入手方法として地域や業界団体の会合に参加、定期的な発注業者とのコミュニケーションで相談しやすい環境づくり)③製品・サービス単位で原価を把握し、単価表、見積書作成(単価表の効果として事業所の強み、技術力を取引先に伝えやすい)④取引先の経営方針や業績動向把握⑤自社の付加価値把握(顧客満足度の高さ、提案力・企画力・アフターサービス等)―を挙げた。
地元事業所の事例紹介もあり、龍郷町にある「大勝の小さな手作りパン屋 Pokka Pokka(ぽっかぽっか)」の大山真店長が発表。それによると2021年5月に開業し4年が経過、顧客は主婦層が多く「ほとんどが地元の人で観光客は1割程度」。商品の価格帯については「地元の相場よりは少し高い」とし、「原価表を見直し価格の据え置き、アップを模索している」と述べ、値上げについて「バターなど油脂関係が特に高く、商品への転嫁で少しずつ値上げしている。また、粉ものであり作る量やサイズを調整することもできる」。
価格を転嫁しても購買を維持しており、大山店長は「原材料にこだわり、アレンジしての新製品など商品づくりで付加価値を高めている」。具体的には、それぞれの役割の違いから味に変化を生む三つの酵母、ほとんど国産を使用している小麦粉(一つ一つに違い)を挙げ、販売している商品を画像で紹介した。

