「日赤」への働き掛けが要点

県立大島病院の大木浩医師(左奥)から塩田康一知事との面談内容が市議に報告された(11日、奄美市役所)

大木医師が市議会へ報告
県知事と「血液供給」面談

 奄美群島での輸血用血液(血液製剤)の安定供給について、大島郡医師会の稲源一郎会長らと塩田康一県知事がこのほど意見交換した内容をまとめた報告会が11日、奄美市役所であった。市議会を対象に県立大島病院の大木浩医師が報告。血液事業を担う日本赤十字社(日赤)への働き掛けが必要とし、「医療の問題ではなく政治の問題」とする課題の共有を図った。

 大島郡医師会は県議会に「血液製剤安定供給体制の構築に関する陳情書」を提出しており、3月定例会で採択。面談は6月3日に行われ、永井章義県議らの働き掛けで実現。塩田知事、県保健福祉部、稲会長、松田浩孝県議ら関係者約30人が参加した。

 報告会によると、面会では稲会長から、「観光客やⅠターン者の増加で交通事故、水難事故は減ることはない」と、血液供給体制の脆弱(ぜいじゃく)性に対する安定供給を望む提言がなされたという。

 対して、保健福祉部は今月1日から、県本土と奄美大島間で新たに荒天時を想定したATR(血液搬送装置)の運用が県立大島病院で始まったことを報告。しかし、県議らからは「ATR運用の先には備蓄所がないといけない」とする島内備蓄の必要性が伝えられた。

 また、塩田知事は「日赤県支部長、県立病院局の長として、(備蓄所設置などの)許認可権を有する知事の意向で、院内に備蓄設備を作ることは可能」(大木医師)とする考えに対し、「県支部長であることは十分認識しているが、私一人でやれば動くかといえばそうではない。関係者を巻き込むことが重要」との認識を示したという。

 報告後、大木医師は市議らに対し、「日赤が大島病院で院内備蓄をする場合、日赤(私企業)と病院(県)両職員の兼務がハードルにならないことを確認。院内備蓄は現実的な落としどころ」と見解を述べた。

 市議からは「まずはATR運用の推移を見守るべき」「群島の関係機関らが足並みをそろえることが大事。嘆願書の効果的な提出の仕方も考慮すべき」などの意見が上がり、大木医師は「体制確立の要望を知事へお願いすることが重要で、奄美群島として血液供給体制を問題視し解決を望んでいることを日赤に伝えるべき」と、「医療ではなく政治の問題」と強調した。

 ■ ■

 2018年3月、奄美群島に唯一設置されていた県赤十字血液センターによる奄美大島の血液備蓄所が廃止。緊急時に要する血液製剤を巡り、島内備蓄など安定供給が課題となる中、21年、県や市町村、地元医療機関などが検討会を発起。以降、血液供給体制の確立に向け協議を進めている。