豊作とされる南側にショチョガマを倒し歓喜する男衆ら
秋名湾西側の海岸で行われた平瀬マンカイ
旧暦8月の初丙(ひのえ)にあたる24日、龍郷町秋名・幾里地区に伝わるアラセツ(新節)行事の「ショチョガマ」「平瀬マンカイ」が同地区であった。集落には大勢の住民や観光客らが詰め掛け、国の重要無形民俗文化財に指定される荘厳な伝統行事を見守った。
夜明け前の午前5時、「ドン、ドン」と集落に太鼓の音が響くと、田袋を望む山の中腹に建てられたショチョガマ(支柱で支えられたわらぶきの片屋根)の前には続々と住民らが集まった。グージ(宮司)が山の神に供え物を捧げ、祭詞を終えると祭りは始まった。
片屋根の上には男衆約100人が陣取り、「ユラ、メラ」の掛け声に合わせて体を動かし、屋根を左右に揺らした。太陽がのぞく午前6時34分頃、豊作を告げる南側に屋根が倒れると、男衆らはその場で八月踊りを舞い、一年の五穀豊穣を願っていた。
4月に新会長に就任した秋名平瀬マンカイ保存会の隈元和範会長(66)は「頑丈だったが無事に倒れてうれしい。来年は豊作になると思う」とほっとした様子で胸をなで下ろし、「(新会長に就任し)祭りの偉大さを改めて感じている。秋名・幾里地区の唯一の文化。若者を育てながら、後世に残せるよう努めたい」と話した。
午後4時頃からは、秋名湾西側の海岸で平瀬マンカイがあり、男女らが向かい合う二つの岩の上で唄を掛け合い、海の彼方(ネリヤ)の神々へ祈りが捧げられた。
しめ縄を張った神平瀬には、ノロ役の白装束の女性5人が登り、女童(メラべ)平瀬には、グージら男性3人と女性4人が上がって唄掛け。神事の後は、「スス玉踊り」などの八月踊りが浜辺で始まるなど、詰め掛けた観衆らが手拍子を打って楽しんでいた。
東京から来た65歳男性は、宿泊先で行事を知り初めて足を運んだ。「奄美の伝統行事に触れられて良かった。良い年になりそう」と笑顔だった。
祭りは、戦中戦後に途絶えたものを同保存会が1960年に復活させ、継承に取り組んでいる。国指定は85年に受けた。

