マウンドで円陣を組み、地頭所監督の話に耳を傾ける徳之島ナイン=鹿児島高校野球場
練習の後で校歌の練習をする徳之島ナイン=鹿児島高校野球場
【鹿児島】第157回九州地区高校野球大会は9月30日に3回戦までを消化し、ベスト8が出そろった。奄美勢は徳之島が5季ぶりに8強に勝ち残り、5日に鹿児島市の平和リース球場である準々決勝第1試合で尚志館と対戦する。「最強の挑戦者」(嶋田雄心主将)の意気込みで尚志館戦に全力で挑む。
30日の3回戦で鹿児島情報に競り勝った後、島に帰るという選択肢もあったが「勝つための準備を万全にする」(地頭所眞人監督)ために鹿児島に残った。帰島すれば、片道約15時間の船旅を準々決勝までに2度経験しなければならない。何より練習する時間が十分にとれない。練習時間を確保し「大会期間中にうまくなる」(地頭所監督)道を選択した。
2日は鹿児島市犬迫の鹿児島高校野球場で午前中、目いっぱい練習した。試合形式ノック、打撃練習、自主練習などで汗を流した。「三つ勝ったことで自信と勢いがついている」とエース長尾涼。「残り三つ、勝つためにも、もっと練習してうまくなりたい」と燃えていた。
9月22日に島を出発して鹿児島滞在10日目を迎えた。「オンオフの切り替えがみんなとても上手」と1年生の白坂優美マネジャー。オフの時間帯は優しく冗談を言い合う部員たちも、野球の練習が始まると高い集中力を発揮する。「みんなが全力を出せるように、細かいところにも気を配ってチームを支えたい」という。
離島のチームにとって今回のような長期遠征で頭を悩ますのは費用の問題だ。鹿児島での宿泊は2日時点で10泊、5日の試合までに更に2泊する。ホテルの宿泊費は1泊6300円。これにフェリー代や滞在期間中の昼食代、ユニホームの洗濯代なども合わせれば、1人10万円以上の負担は確実。寄付金なども寄せられているが基本は保護者の負担である。「保護者には相当な負担をかけて心苦しいが、選手たちは負担のことは考えず、思う存分野球に打ち込んでほしい」と藤崎康平部長は心境を語る。
鹿児島商の塗木哲哉監督は選手たちに「島に帰りたいという気持ちを出させないこと」「費用の負担を感じさせないこと」の2点が大事と説く。4年前の秋優勝、3年前の夏準優勝など、大島を率いてたびたび長期遠征を勝ち抜いた経験に基づいてアドバイスする。費用負担などデメリットもある半面、長期遠征では規則正しい生活ができ「強豪私学の合宿より良い環境で野球に集中できる」のが最大のメリットだと塗木監督は言う。デメリットをなるたけ感じさせず、いかにメリットを引き出していくか、指導者陣のマネジメント力にかかっている。(政純一郎)

