奄振審議会

オンライン併用で開催された第121回奄美群島振興開発審議会の様子

「共通の危機感共有を」
沖縄との連携で意見 Web併用で開催

 【東京】第121回奄美群島振興開発審議会(会長・石塚孔信鹿児島大学名誉教授)が7日、千代田区霞が関の中央合同庁舎第3号館を拠点にオンライン併用で開催された。会議では、2024年度に奄美群島の振興開発に講じた施策などについて、活発な議論が交わされた。

 冒頭に古川康国土交通副大臣があいさつ。9人の委員が出席した。山下久美子氏(一般社団法人奄美群島観光物産協会統括リーダー)の新任あいさつに続き、石塚会長が司会を務めた。議事は「奄美群島振興開発審議会副会長選出」「24年度に奄美群島の振興開発に関して講じた施策」「奄美群島振興開発計画」「奄美群島振興開発基金の経営改善に向けた取組状況」について。副会長には、藍場建志郎氏(櫻島埠頭㈱常勤監査役)が選出された。開発基金の経営改善については、藤井隆理事長から「建設業、サービス業の活発な需要などで保証業務が増加した」などの報告がされた。

 事務局から資料に添って説明がされ、その後、各委員が意見を述べるかたちで開始された。伊村達児氏(伊村農園代表)は、沖永良部島での生産者の立場から発言。「輸送コスト支援で助かっている半面、マンゴーは、ほとんどの農家が宅配便を使っている。畜産も厳しい」と実態を説明、「果物へも補助を」と訴えた。国交省担当者は「きめ細やかな対応を県とも議論していく」などと応じた。

 高岡秀規氏(大島郡町村会会長)は「いい牛肉ができるのを証明しているので、地元でと殺するシステム等の整備を」と強調。「交付金を有効に使っていくためにも、当初予算の確保を」と要望した。国交省側からは「九州農政局との相談もいいのではないか」との返答を引き出した。ほか、沖縄との連携は「商売では、利益の取り合いになる」との認識から、農業の担い手不足やサトウキビの値段など「共通の危機感を共有することが大切」との意見や、賃上げの現状を問う声があった。

 奄美群島広域事務組合を代表して、安田壮平氏(奄美市長)は活発な意見交換に感謝し「小さなことではあるが、大島紬とかりゆしウェアのコラボ『ほーらしゃウェア』など沖縄との連携もしている。貴重な意見を生かして、発展に向けて取り組みたい」と締めくくった。