子どもたちが「十五夜どー!」

「十五夜どー」の掛け声が集落中に響き渡った伝統行事「十五夜綱かつぎ」(6日、奄美市名瀬小湊)

無病息災「綱かつぎ」で願う
名瀬・小湊集落

 「十五夜どー!」――。奄美市名瀬の小湊集落で6日夕、伝統行事「十五夜綱かつぎ」があった。子どもたちが元気な掛け声とともに鐘や法螺(ほら)貝を鳴らしながら集落を練り歩き、住民の無病息災を祈った。

 旧暦8月15日夕方に行われる市無形民俗文化財。大綱を持った子どもたちが、集落内を決められた道順で巡り、最後は海岸で綱に火をつけ海へと流し、悪霊を払う。

 一行は午後6時過ぎ、集落の始まりの場所とされる「マーの広場」を出発。子どもたちが保護者らとともに大綱を担いで前進し、先々には十文字にした稲わらが置かれていった。

 海岸では大綱で土俵が作られ、中秋の名月の下で子どもたちが相撲で勝負。その後、丸められた大綱に火がつけられ、沖合へと流された。

 掛け声とともに鐘がつるされた棒を先頭で担いだ、小湊小5年の城山奏君(11)は「リズムを取りながら声を出して楽しかった。来年は法螺貝を吹いてみたい」と笑顔を見せた。

 住民らによると、元々は男児や青年の行事だったが、少子化などに伴い集落行事へと変化。この日も男女の生徒児童が参加する中、住民らが行事を計画し協力。道の先々では声援も送られ、小湊子ども会の山城正尭会長(43)は「子どもたちが楽しめる行事としても、伝統の継承に努めたい」と話した。