満月に照らされ、昔ながらの「サンシキ」で親睦の宴を広げた「十五夜祭り」=7日、徳之島町下久志

十数年ぶり「黒石」(推定90㌔超)に挑戦・成功者も

新生児の健やかな成長を祈念した「みいばまふまし」
【徳之島】徳之島町下久志集落(時亮区長、約75世帯・133人)の聖地十五夜浜で6日と7日の連夜、伝統行事「十五夜祭り」があった。延長約百㍍に及ぶ昔ながらの茅葺(かやぶき)小屋「サンシキ」を設営し、中秋の名月と満月を眺めながらの宴で交流。新生児の健やかな成長を祈る「みいばまふまし」や、剛力の称号を競う力石大会でも沸かせた。
下久志の十五夜祭りは、数百年前から集落を挙げて受け継がれる自慢の一大伝統行事。新型コロナ禍による中断もあったが、一昨年に青年団(上田健太団長)が中心となり4年ぶりに再開。今年も青・壮年層の住民や地元企業も協力し、猛暑の中で軽トラック11台分のススキを刈り集め、砂浜を整地して昔ながらの「サンシキ」を完成させた。
6日の十五夜は、眼前の水平線から昇る中秋の名月を仰ぎながら住民たちが個々に持参した〝一重一瓶〟の酒食を交わし、子どもたちの踊りや三味線演奏、女性連の踊りなどを楽しんだ。翌7日の「ナーチャ十五夜(翌日十五夜)」の十六夜(いざよい)は、島内外からの来訪者も加わり、集落人口の2倍を超える交流人口の約300人が参加した。
満月が雲間から照らす十五夜浜では、全国大会に出場したちびっ子らの空手演武や島唄の披露に続き、土俵上では伝統儀式「みいばまふまし(新浜踏ませの意味)」が行われ、新生児10組の健やかな成長を祈念しあった。
呼びものの「力石大会」では、丸まってつかみどころのない「ハンタ石」(約72㌔)を腹部伝いに肩に担ぎ上げた挑戦者に「剛力」の称号が与えられた。そして、十数年ぶりのチャレンジャ―登場となった「黒石」(推定90㌔余)の部では、ニューヨーク出身CIR(国際交流員)のリナルディ・クリストファーさん(28)に続き、地元の建設会社役員米山尊之さん(28)も「地元の名誉にかけて」それぞれ成功して大いに沸かせた。
引き続き女性連による踊りや伝統芸能「下久志キョーダラ」が披露され、世代を超えた交流が広がった。青年団の上田団長(39)は「下久志の十五夜祭りは住民の誇り。準備は大変だが、壮年層や企業など多くの協力に感謝し、継承していきたい」と語った。

