片岡鶴太郎さん「額裏」展でトークイベント

作品を囲んで左から、泉二啓太社長、生駒暉夫さん、片岡鶴太郎さん

魂が込められた力作を説明する、片岡鶴太郎さん

奄美の素材にも興味
銀座もとじで

 【東京】銀座で着物専門店を展開する「銀座もとじ=中央区銀座4の8の12」で、俳優で画家の片岡鶴太郎さん(70)が手掛けた額裏(羽織の裏地)、限定6枚がこのほど特別展示され、多くの人でにぎわった。それを記念した「ぎゃらりートーク」が開催され、さまざまなエピソードが明かされた。

 トークイベントには、泉二(もとじ)啓太社長(41)と片岡鶴太郎さん、東京友禅作家の生駒暉夫さん(70)が出席した。鶴太郎さんは大きな拍手に迎えられ、満席の会場に登場。2度目となった今回の挑戦を「絹は、紙の植物と違い、動物の上に描く感じだった」と振り返った。たらしこみという日本画の伝統的な技法を説明しながら「絹で生じる、にじみを生かし力強さや、かわいらしさを出した」と語った。また、目から放つエネルギーをいかに表現していったかなど、微妙に加減を調節しながら生地と格闘したエピソードを紹介。テレビ番組出演を通じて、泉二弘明会長(75)(当時社長)と知り合った経緯もユーモアを交えて紹介した。

 作品は全6点。墨のにじみや筆のタッチを駆使した、感性が力強くも、繊細に表現されている。絵と独特の書により「二匹の龍が日本を守っている」「意志を貫く一匹狼」など唯一無二の世界観が展開されている。

 粋、男の美学が凝縮された羽織の裏地「額裏」。その思いが込められた原画に、生駒さんが地染めしたことで完成に至った。

 「アマミノクロウサギなど、特有の動物を描いてみては」と問うと、鶴太郎さんは「奄美の黒文化は墨とつながっている。どんなものに描くべきか興味がある」と笑顔で応じた。傍らで聴いていた啓太社長も「企画したいですね」と相づちを打った。

 鶴太郎さんは、15日にテレビ朝日系列で放送される「相棒初回スペシャル」に、人間国宝の講談師・瀧澤青竜の役でゲスト出演する。