今月4日、奄美群島内で男性がハブに咬(か)まれ、11年ぶりに死亡事故が発生したが、2024年度の月別咬傷者発生状況では最多の5月に続くのが10月となっている。11月の割合も高く、今年はまだ夏のような高温が続いていることから不用意に草むらに近づかないなど引き続き注意が必要だ。
24年度の状況について県薬務課が「ハブ白書」(ハブ対策事業の概要)としてまとめた。対策は、駆除対策と咬傷対策及び捕獲奨励買い上げの三事業で進められている。
白書によると、ハブ咬傷の発生数は、一般的に春先から夏にかけて増加し、秋から冬にかけて減少するという傾向を示す。例年、3~11月に多発し、最も高温となる盛夏は、やや減少するのが特徴。「これは、ハブの野外における活動が、温度、湿度、風向などの気象条件に左右されるためと考えられる」と考察する。
発生状況で、24年度中の咬傷者数は49人となり、前年度に比べて12人増加した。ここ10年の平均は約42人という。島別では奄美大島が22人、徳之島が27人。生息する加計呂麻島、請島、与路島での咬傷はなかった。月別では、5月9人(18・4%)と最も多く、次いで10月8人(16・3%)、6月と9月が6人(12・2%)、11月と3月が各5人(10・2%)、4月と7月が3人(6・1%)、8月が2人(4・1%)、12月と1月が各1人(2・0%)の順。2月は咬傷者数ゼロだった。
咬傷部位別では、手首より先が24人(49・0%)、次いで足首より先と下腿(かたい)が各9人(18・4%)などの順。動機別は、草刈り中が13人(26・5%)、ハブ取り扱い中が11人(22・5%)、その他が10人(20・4%)で、この3動機で全体の約70%を占めた、このほか作業中6人(12・2%)、歩行中4人(8・2%)、サトウキビ刈り中2人(4・1%)、室内雑用、除草中及び伐採中が1人(2・0%)の順。
咬傷を受けた場所別では、庭(敷地内)が14人(28・6%)、畑が7人(14・3%)、次いで居宅内と道路が各6人(12・2%)など。年代別では70歳以上が20人(40・9%)と最も多く、50歳代と60歳代が各8人(16・3%)となり、50歳以上の咬傷者が36人で全体の73・5%と高い割合にある。時刻別では、午後8時~午前0時が12人(24・5%)と最多で、午後4~8時が10人(20・4%)と続き、夕方から夜間にかけての咬傷が半分近くを占める。
24年度の買い上げ状況についても報告。保健所別で名瀬1万1406匹、徳之島8473匹の計1万9879匹。このところ年間2万匹前後で推移しているという。最近10年間の島別の買い上げ総数は、奄美大島12万8534匹(62・5%)、徳之島が7万8944匹(36・5%)で、奄美大島が徳之島よりも多くなった。

