唄者囲んで唄あしび

平田さんと阿部さんの二人の見事な歌声で、唄あしびが盛り上がる会場

 

 

 

恵比寿「大吉」で開催

 

 

 【東京】東京恵比寿の居酒屋「大吉」で2日、民謡民舞全国大会出場のために上京していた唄者、阿部ミネ子さん(90)、平田久代さん(77)を囲んで、唄あしびが開催された。

 奄美市名瀬出身で、奄美で開催されている奄美民謡大賞に毎年参加している脇田真由美さんが、二人に声を掛け、東京でシマ唄を楽しんでいる人たちにも声を掛け実現した。店のマスター大吉平造さんが天城町出身でシマ唄にも親しんでいたことから、場所を快く提供した。

 午後7時から始まった唄あしびには、本番を歌い終えた両唄者を囲んで、総勢20人が集った。大吉さんの島料理や黒糖焼酎を囲み、朝花を全員で歌い回してスタート。俊良主節の唄掛けが始まると、シマの唄者ならではのお囃子(はやし)が飛び交い、場が一層盛り上がった。

 この日の大会出場曲、阿部さんが「俊金節」、平田さんが「行きょうれ節」をそれぞれ披露し、二人の張りのある見事な歌声に出席者らはしみじみと聴き入っていた。

 後半は「イトゥ」を全員で歌い合い、にぎやかに締めた。

 参加者らは、東京ではめったに味わえない本格的な唄あしびに満足げだった。

 阿部さんは90歳、「卒寿矍鑠(かくしゃく)賞」が授与された。今回で今大会を卒業となる。「50の手習いで始めたシマ唄、父が三味線を弾き、母が歌っていた。これからもシマ唄を続けていきたい。東京での唄あしびも楽しかった」と話した。

 平田さんも「初めて会う人ばかりでしたが、楽しかった。島出身でない人もたくさんいて、みんなでシマ唄を楽しめていい時間だった」と話した。

 主催した脇田さんは「どうなるか心配だったが、やってみて、よかった。いつも奄美民謡大賞の大会中に客席から聴いて、いいなぁと思っていたので、シマ唄オタクとしては、こんな日が来るとは夢にも思っていなかったので実現してうれしい。東京でこのような唄あしびを続けていけたら」と思いを語った。