奄美大島・喜界島 水土里サークル活動リーダー研

2年ぶりに開催された奄美大島・喜界島水土里サークル活動リーダー研修会。各活動組織の事例発表では喜界町の広域協定が紹介された

広域化のメリット報告も

 2025年度奄美大島・喜界島水土里(みどり)サークル活動リーダー研修会が16日、奄美市名瀬の宴集会施設(奄美観光ホテル)であった。組織構成員の高齢化、活動参加者の減少といった共通課題を抱える中、組織運営効率化による継続へ広域化が求められている。すでに取り組んでいる喜界町の活動事例発表では広域化のメリットとして事務局を一本化することで、事務作業の負担軽減が挙がった。

 県、奄美大島内5市町村と喜界町の主催。事務局の大島支庁農村整備課によると、2年ぶりの開催で約60人が出席。県では農業・農村の多面的機能の維持・発揮と地域の共同活動を支援する施策として、鹿児島県独自の愛称である水土里サークル活動を進めている。活動を支えているのが、国が交付している多面的機能支援交付金。奄美大島・喜界島で活動に取り組む組織は現在34組織で、24年度は協定面積(活動面積)約2700㌶に対し約8500万円が国から交付された。

 活動組織による事例発表は、喜界町広域協定運営委員会、古見方美島人(こみほうきょらじまんちゅ)(奄美市)、大和農地環境保全会(大和村)の順で。このうち喜界町では18年度に広域化の検討を本格的に開始し、19年度に広域化に合意した25組織による、同町広域協定がスタート。25年度から、新たに配下組織として先浦集落農村環境保全隊が広域協定に加入し、町全域で1組織として活動している。認定対象面積は1718㌶で、約6千万円が交付されている。広域協定総会後は計画や予算などについて組織ごとに持ち帰り点検・計画策定で交付金の有効活用など図っているが、活動への参加者減少(役員が中心でほとんど同じメンバー)、高齢化に伴う担い手不足といった課題解決へ役員の若返り、組織活動を通して関心を持ってもらう取り組みなど進める。

 組織の広域化について出席者から質問があり、発表した同町広域協定運営委の中山義浩さんは▽集落ごと26組織があり、事務局を一本化(交付金を持ち寄って事務員1人雇用)▽支払いや精算といった事務作業は事務局が全て行い、各組織活動はこれまでと同じで、事務作業の負担軽減が実現▽広域組織となっても各組織の境目については代表、会員同士で必ず話し合いを繰り返している―など説明した。

 「水土里サークル活動における人材育成と活動参加者の確保について」と題し、県南薩地域振興局農林水産部の上川浩二部長による講演や、出席者による意見交流会もあった。