複式学級指導を実習

3年生(奥)と4年生の複式授業を経験した院生の西依裕泰教諭(左)(15日、龍郷町の龍郷小学校)

離島へき地の教育課題解決向け
鹿大教職大学院、龍郷町で

 鹿児島大学教職大学院は14~17日、龍郷町の龍郷小と赤徳中の2校で、院生が離島地域の教育課題を学ぶ「重点領域実習」を行っている。実習には、院生4人(現職教諭2人含む)と教職員3人が参加。複式学級での授業を実地で担当し、教育的課題についての見識を深めた。

 鹿児島県は、全小中学校の4割以上が離島へき地に設置され、複式学級のある学校の割合も半数近くを占める。こうした状況から複式指導や少人数指導における課題解決が望まれている。同大学院は、離島へき地実習を必修とし、実践力を養うことを目的に毎年実施しており、同町で行うのは4回目。

 15日は、両校で授業が行われた。龍郷小(住友智光校長、児童15人)では、大学院1年の西依裕泰(にしよりゆうだい)教諭(35)が、3・4年生(3人・2人)の国語の複式授業を担当した。

 西依さんは、2012年に教職に就き、20年から25年3月まで県立大島特別支援学校に勤務。複式での授業経験がないため、事前に詳細な指導案を立て、3年生の「修飾語」、4年生の「漢字」の授業に臨んだ。

 授業は、子どもたちとの対話や個々への働き掛けなどきめ細かく行われ、児童同士で答えを導き出す工夫も凝らされ、振り返りまで無事終了した。

 「初め」と「始め」の漢字の使い分けについて講義を受けた4年の大野汐空(しずく)さん(9)、正親(おおぎ)すみれさん(9)、大野絃祐君(9)は「辞書を引いて、意味を考えて使い分けるのが面白かった。もっと漢字を覚えたい」と好評だった。

 西依さんは「授業の導入部分で時間がかかってしまった。各学年を行き来する〝渡り〟の時間を意識し、明日の授業で改善したい」と話した。

 引率した宮﨑幸樹准教授は「複式授業は、直接指導と間接指導を両立させなければならない難しさがある。一人一人に応じた学習の在り方など、模索してほしい」と話した。