秋頃、サギに似た白い花を咲かすダイサギソウ
群生地に監視カメラ増設
奄美市の山林
奄美市世界自然遺産課は16日、同市名瀬地区の山林で、5市町村条例で希少野生動植物に指定されているダイサギソウの盗掘が発生したと発表した。今月6~11日の間に行われたとみられ、根元が掘り返されていることから、スコップなどの道具を使って採取された可能性が高いという。同課は、条例違反の可能性があることから奄美署に報告、市内にある群生地に監視カメラを増設するなど対策に乗り出した。
ダイサギソウは8月から10月にかけ、白いサギ(鳥)に似た花を咲かすラン科の多年草で自生ランの一種。奄美市希少野生動植物の保護に関する条例で採取が禁止されている。
盗掘があったとみられる場所は、名瀬クリーンセンター付近の山林斜面。6日に県希少野生動植物保護推進員が開花を確認。11日になって消失していることが分かった。
市は同日、他4町村と環境省に情報共有を図り、16日になって奄美署へ通告し、パトロール強化を依頼した。同課による監視カメラの増設も行った。
ダイサギソウは、日当たりのよい草原や山林の林縁などに生え目立つことから盗掘の被害に遭いやすい。2023年には徳之島で掘り返された跡が相次いで見つかった。奄美大島5市町村は13年、希少な動植物の保護を目的に共通の保護条例を制定。ダイサギソウを含む植物35種と動物22種を指定して捕獲や採取を禁じている。違反すると、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科せられる。

