厚い雲に阻まれ、かすかに見える状態となった今年の「龍の目」(上=10月12日午後6時前)と、立神も重なったことで黒目に見えた昨年の「龍の目」(下=10月11日午後5時51分)。撮影はいずれも西康範さん
龍郷町円集落にある「かがんばなトンネル」(全長29㍍)に夕日が入る秋の落日ショーは、9月24日頃から10月16日頃までとされている。奄美地方北部を強風域に巻き込んだ台風23号が遠ざかった12日から、西康範さんは連日撮影に取り組んだが、厚い雲に阻まれ、今年の「龍の目」はかすかに見える状態となった。
西さんは16日まで5日間連続で撮影。周辺に設置されている展望所から「龍の目」を捉えることができるのが11日頃からという事情もあった。西さんは「連日、水平線が同じような雲に覆われ、トンネルに夕日がすっぽり入る条件を阻まれた。今年の秋は残念ながら雲の間からかすかに見える『龍の目』になってしまった」と振り返った。
観察者も天候が回復し日曜だった12日は最も多く約50人。祝日だった13日も30~40人いたが、平日に入ると少なくなり、諦める雰囲気だったという。西さんは「最初の頃は条件が良かったと聞いている。ただ展望所以外の場所で撮影した場合、ススキが入ってしまう」と話す。日没時間は、9月24日は午後6時16分頃だったが、徐々に早くなり、10月16日では同5時52分頃となった。
昨年秋の「龍の目」は、西さんが10月11日に撮影したのを奄美新聞紙面に掲載。ともった目と立神(信仰の対象となる岩)が重なったことで、「その様子は龍の黒目に例えられている。今年は撮影できなかった」(西さん)。
毎年、春分の日と秋分の日の前後にかけて同トンネルに夕日が入り、「龍の目」のようになる神秘的な自然現象。「国内でも珍しい景色」として見物・撮影に訪れる観光客も多い。

