ミリ波レーダーでロードキル防止へ

クロウサギのロードキル抑止効果を実証するミリ波レーダーセンサーシステムと樋口浩平社長=10月31日、徳之島町轟木で

クロウサギ保護へ徳之島町
夜間の車速抑制狙い実証実験開始

 【徳之島】徳之島町は、国の特別天然記念物アマミノクロウサギの交通事故死(ロードキル)を防ぐため、ミリ波レーダー技術を活用した速度抑制システムの実証実験を10月31日から始めた。自動運転車などに使われる先端技術を道路側に応用し、夜間の車両速度を検知してドライバーに減速を促す仕組みだ。世界自然遺産の島でこうした試みは初めてで、来年3月頃までデータを集める。

 同システムは、道路脇に設置したミリ波レーダーが前方に電波を照射し、対向車両からの反射波を解析して車速を算出。速度に応じてLED表示板が赤(時速40㌔以上)、黄(同39・9?30㌔)、緑(30㌔以下)に変化し、夜間(午後6時?翌朝6時)にドライバーへ直接注意を促す。

 実証事業を受託したのは、横浜市の太平電機㈱(樋口浩平社長、奄美観光大使)。同社は地域の自然保護活動「ECOひいきプロジェクト」を推進しており、世界自然遺産推進共同体の加盟企業でもある。設置場所は、島内で最もクロウサギのロードキルが多い県道松原轟木線の徳之島町轟木地区。昨年1年間に同島内で発生した42件のうち15件がこのルートで起きている(環境省)。

 システムは通過車両の台数や平均速度、警告発生回数、日時なども記録。これらのデータを分析して効果を検証し、設置位置や方向なども検討を重ねてシステム設定の最適化を図る。電源にはソーラーパネルとバッテリーを併用し、風雨や塩害など過酷な環境での耐久性も確かめる。

 同社は並行して、道路や動物を3Dで検出できる「LiDAR(ライダー)」センサーの導入も構想中。将来的には動物の飛び出しを瞬時に検知し警告を発する高度な防止システムの開発も目指している。

 世界自然遺産に登録された徳之島では、クロウサギをはじめとする固有種の交通事故死が後を絶たず、世界自然保護連合(IUCN)が同防止対策を「宿題」として求めている。

 樋口社長は「人のための技術を自然のためにも活用したい。ロードキルゼロを目指し、持続可能な仕組みを確立したい」と話す。町おもてなし観光課の担当者も「効果が確認されれば、農作物の食害防止などへの応用にも期待したい」としている。